デヴィッド・ボウイが火星に還ってから明日で早2年が経過します。
また1月8日はボウイの誕生日でもあり、生きていれば昨日で71歳に。
生きる伝説であり続けたボウイは名声を得る一方で、深刻な薬物中毒にも長年悩まされていました。
そんな彼が薬物更正も兼ねて移住した地が、当時東西冷戦下にあった西ベルリン。
ソ連側の東ドイツ領土内のド真ん中に飛び地のように存在した西ベルリンは周囲を高い壁に覆われていた一方、
米英仏の最先端カルチャーが流入し続けたことで目まぐるしい商業発展が旺盛した大都市。
そこへロックスター、ボウイが移住したことで彼はベルリンっ子の誰もが羨むトップアイドルとして絶大な人気を誇りました。
しかし一見発展していた西ベルリンの裏側では外部から流入する薬物が蔓延し、その多くは青少年が餌食となっていたのです。
本作『クリスチーネ・F』は実際に当時14歳のボウイファンだった美少女クリスティアーネが薬物に溺れていく様子を生々しく綴った実録青春ドラッグムービー。
思春期真っ只中の少女が初めてのディスコで目の当たりにしたのは、同世代の若者が音楽とドラッグを楽しんでいる姿でした。
そこで出会った美少年デトレフの気を引きたい恋心で、とうとう手を出した薬物。
抜け出せなくなる恐怖やヘロインを買う金欲しさに売春に身を落とす悪循環、禁断症状に苦しむ姿など可憐な少女の変貌は大変ショッキングであり、人相も演技とは思えぬほどの説得力でヤク中少女を熱演しています。
本編にはボウイの楽曲が数多く使用されているほか、コンサートのシーンではボウイ自身も出演。
自らの経験によって青少年たちを薬物から救いたいボウイの気持ちは、主題歌『Heroes』と『Station to station』に強く込められています。
ボウイはその後も西ベルリンから壁を隔てた東ベルリンに向けて野外コンサートを行い、1990年にベルリンの壁が崩壊するまで音楽の力で東西統一の実現に貢献しました。
彼の奏でる音楽は今も我々の心を掴んで放しません。
We could be heroes, just for one day
&ダメ、ゼッタイ。