Yuma

クローバーフィールド/HAKAISHAのYumaのレビュー・感想・評価

3.8
モンスターに限らず、一般的にパニック映画鑑賞のポイントは以下の4点だと思います。

1. "それ”が訪れる前の日常を描どう描くか。どういう人の日常を切り取るか。

2. 日常が一瞬にして崩れた瞬間の、キャラクターのリアクション。

3. "それ”が訪れた後の新世界における人々の行動。利他的な人、利己的な人、弱い人、強い人、共感できる価値観、できない価値観が入り混じることで感情移入する。またこれによる関係性の変化もみどころ。

4. そして当然ながら、常識はずれの"それ"の脅威にどれだけの存在感と絶望感を持たせられるか。

これらをしっかりと表現できていれば映画のストーリーや結末なんておまけみたいなものです。つまり演出が8割。

今回の現場はマンハッタンの超一等地。いわゆる13日の金曜日やジョーズなどに代表される、パリピが悲劇にあう様を見る映画といっていいのか。
彼らは電車移動をしている様をみるに、富裕層とまではいかないまでも、平均的な家庭よりは余裕のある生活と思われる人々かと見えます。

なんとなく日系のモンスターパニックでは職場や家庭に焦点が当てられるケースが多い気がするけど、洋物はこういうのが多い気がします。文化の違いの面白いところか。

本作はホームビデオ撮影されたテイのFound Footage形式を採用することで災害の規模に現実味を加えることに成功している反面、流石にこの状況でカメラを回し続けていることに対して、違和感を持ってしまうという面があることも否めない。
確かに本編中、映像を残すということに対して責任感を持っているような発言もあるが、実際にはそれがドキュメンタリー撮影を生業にしているプロやセミプロという設定であればまだしも、アマチュアですらない、初めてビデオカメラを持ったような人物が撮影しているのであれば、生存することを最優先に考える方が自然である。
また、普通のカメラにしては妙に高性能で暗視ライトを搭載している点についても妙に都合が良かったり、リアリティを重視すると、バッテリー残量なども気になってきてしまう。サバイバルにバッテリーはめちゃ大事ですもの。

残念ながらというべきか、やはり、もし映画館の巨大スクリーンでモンスターが眼前に迫る脅威を見せられたら、と考えると、パニックムービーは家のディスプレイで見るのは勿体無いなぁと感じます。
Yuma

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