KnightsofOdessa

炎のアンダルシアのKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

炎のアンダルシア(1997年製作の映画)
3.5
[カリフのボンクラ息子、"目覚める"]

ユーセフ・シャヒーン長編32作目。物語は12世紀レコンキスタ真っ只中のイベリア半島で、カリフの隣で法律を司る哲学者アヴェロエスを中心に語られる。頑迷なカリフには、アヴェロエスと親しく哲学にも造形の深い長男ナセルと、くすぶってる次男アブダッラーという二人の息子がいて、カリフの弟ヤフヤーもアヴェロエスと親しい。また、近くに暮らすロマ一家とも親しく、ナセルはアヴェロエスの娘と、アブダッラーはロマ一家の娘と良い感じで云々。物語の主人公はアヴェロエスだが、興味深いのはやはりアブダッラーの物語で、くすぶってるボンクラ息子が"目覚めて"しまい云々という、900年前にしてYoutube見てネトウヨ化するような悲しい流れが完成してしまっている。コーランを2節引用しただけで学者相手にイキってるのとか、Twitterすぎて見てらんなかった。それにしても、"物語"を使って狂信者を利用して体制を転覆する『DUNE Part2』と真逆の映画で笑った。ラストは現実から改変されているようで、あれだけ頑迷だったカリフが急にアヴェロエス派に転向するファンタジーになっていた。
KnightsofOdessa

KnightsofOdessa