Habby中野

カルメン故郷に帰るのHabby中野のネタバレレビュー・内容・結末

カルメン故郷に帰る(1951年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

広大で美しい自然の風景に溶け込む村人たちと、東京から帰って来た、背景に映えるカルメンとの対比を始め、東京の先進的な文化、“芸術”と田舎の土着的生活との相容れない関係が浮き彫りに。表面的な(?)“芸術”を謳う彼女らと金儲けしか考えない輩が結びつき、煽られた大衆が集まるという構図を映画で表すというのは現代からすれば皮肉なものであり、当時の人々にとっては進んだ文化文明は戻り得ないということの表れとなったのだろうとおもう。
結局両者は完全には溶け合うことなく終わるが、それでも文明は人々に何かしらの影響を与え故郷を去って行った。日本初の“総天然色”映画は、コメディ的立ち位置でありながらその美しさが少し物悲しい作品だった。
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