猫マッチョ

BANDAGE バンデイジの猫マッチョのレビュー・感想・評価

BANDAGE バンデイジ(2009年製作の映画)
5.0
2023年度お気に入り底上げ名作映画

90年代のバンドブームの背景を岩井俊二が上手く描いている。
猫も杓子も女にモテるためにバンドをやっていたけど、赤西仁は音楽が好きでバンドをしてるのか?それともバンドをして女を食い散らかしたいだけなのか?その問いかけを探るミステリーだ。

当たり前だけど、本人に直接聞いたところで
「オレは女とヤリたいだけでバンドしてるぜ!お前の体に飽きたから他のメンバーにやるわ。」
なんて本音を貰えるわけないから探るしかない。特に主人公の女は女子校出身なんで男女の恋愛関係に疎いからだ。

バンドブームもあってクソ味噌な音楽が登場する平成初期の空気感を漂わせているのは良い。というより、バンド人生を賭けたデビュー曲名が『元気』だぜ。今どき演歌歌手でも付けない曲名を選ぶセンスに疑いがある。
「こんな曲なんてロックじゃねぇ」って言ってた女ですら曲名をスルーするのはラリってたのか?狂ってる。
次の曲名も『勇気』って。MVを観ても女とイチャコラして「勇気が大切だよ」って言われても説得力が皆無なんだけどな。曲名は監督の渾身のギャグなんではないか?


この映画はロングショットが主に構成されていて、ズームがほぼ使われていない。つまり、登場人物の感情を探られない映像作りになっていて全編を通して客観的に観れるようになっている。大金と貧乏と名声が入り混じる平成初期の空気と登場人物の心を探るミステリーのために凝った演出をしている。


赤西仁は女を取るのか、音楽を取るのか。女を取るなら適当に芸能界から引き上げて粛々と家庭を築くだろうし、音楽を取るなら例え貧乏になっても周りが離れても音楽を続けているだろう。
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