HicK

私がクマにキレた理由(わけ)のHicKのレビュー・感想・評価

4.2
《すてきな生態観察》

【アニー vs X家】
スカーレット・ヨハンソン演じるアニーは一般的な家庭で愛を感じながら育った人物。一方、彼女を子守(ナニー)として雇うX家は、上流階級で本当の愛を見失っている家庭。対比がとても面白かった。彼女が異国で暮らし始めたかのように描く。

【郷に従う】
アニーが親にしてもらった事や自分がしてきた事は全てX家ではタブー。ただX家の子供は純粋で、本能的に愛を感じるアニーのやり方を好んでいく。それは両親にとっては"犯罪"に近い。その両親が酷すぎて、不快感を覚える。それを通り越して面白さも感じてしまう。環境に必死に順応しようと奮闘するアニー。この構図は「プラダを着た悪魔」とも似た面白さがあった。

【好きなシーン】
1番印象に残ってるのは中盤のナニーと親のセミナー。これはもう公開処刑。講師も憎たらしい。ラストシーンとの対比が良かった。スカッとした。

【キャスト】
スカーレット・ヨハンソンは純粋な女性を好演していた。そしてなによりミセスXのローラ・リニーがとても良かった。憎たらしい場面は"鉄の女"的。本当に欲している物を内に秘めた複雑さもよく伝わったきた。

【総括】
アニーによるアッパイースト住民の生態観察がテーマだったが、段々と変化するアニーを見ているうちに、こちらが生態観察をしているような気にもなった。いい映画をみたなーと感じさせてくれるステキな生態観察だった。結構、好きな作品。
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