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ダーウィンの悪夢のTSのレビュー・感想・評価

ダーウィンの悪夢(2004年製作の映画)
2.8
暗い。。とんでもなく暗い。
エンディングに関してはこれほど暗いエンディングは初めてだと言わんばかりのものでした。

アフリカの闇を描いたドキュメンタリー映画。数々の賞を取得している模様。世界二位の淡水湖であるヴィクトリア湖に、外来種のナイルパーチが放流され、それにより潤い、同時に周りの市民が貧困になっていくという状況を描いた本作。

先に断言しますが、映画と思ってみたら「なんだこれつまんねえ」となりますのでご注意を。テレビの特番、NHKあたりでやるドキュメンタリーを思い出してくれたら良いかと。ただ内容は頗る暗い。何も解決していない。この状況をあなたはどう思いますか?と問われているような気分です。

自分自信も『シティオブゴッド』を先に観てしまったので中々物足りない気持ちはありましたが、ドキュメンタリーとして、考えるべき内容ではあったとおもいます。

アフリカ経済論とか大学で専攻している方からすれば恐らく周知の事実であると思われますが、アフリカでは利潤と市民の生活は結びついていません。自分は歴史学専攻なので、経済のことはよくわかりませんが、一年生の時に受講した「現代世界の地域紛争」という科目内容を思い出しました。例えばプレステの原材料にもなるタンタルという物質があり、それを発掘する労働者には極めて低賃金を与え、開発者が利潤を得ているという話がありました。
この話を更にシビアにさせた話が今作なのかと、、ナイルパーチを海外に売りさばく結果、武器が輸入されるんですね。武器があれば治安も悪くなる、紛争が起きる。悪循環でしかありません。

先進国の人は、自分も含めてこういう「事実」を知らず知らずに物質を利用しています。こういう「事実」を世界に知らしめるためにも、今作は非常に有用であったとおもいます。

それにしても、わかっていましたが、作中のインタビューで、ほとんどの人が戦争を必要としている、というのは悲しかったですね。戦争は悪いことですが、武器屋のように必ず利潤を得る人たちがいるのです。戦争をビジネスと捉えてる人がいる限り戦争はなくならない、、そういう漠然とした、まさに「悪夢」を突きつけられてるようで心が沈みました。。

問題のエンディングも、あのシーンのためだけにわざわざチャプター構成で独立してます、、それだけ強調したかったシーンであり、エンディングだったのでしょう。

間違いなく万人ウケはせず、大学の講義で問題点を考えるにあたり、必要ないわゆる教育映画であると思います。
面白いか面白くないかといえば間違いなく面白くない。でもこういう作品も観ておくべきかなと思いました。

スコアはその辺も考慮して、無難に3.0にしておきます。
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