ひで姐

キラーコンドームのひで姐のレビュー・感想・評価

キラーコンドーム(1996年製作の映画)
4.7
遅ればせながら明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします♪新年一発目レビューはこれを書こうと決めてました。

自分が今まで観た映画の中でも確実に5本の指に入る程の傑作…しかし万人には決して受け入れられない(であろう)怪作奇作でもある「キラーコンドーム」です。公開当時、タイトルとおしゃれなメインビジュアルにつられて単館レイトショー上映のみだったにも関わらず3回劇場に足を運び、売ってたグッズを片っ端から買いまくり、そしてこうして今でもDVDを人に進めては「は?」という顔をされて…しかし!しかしである!今だからこそこの作品を強く推したい!そんな気持ちもありレビューを書いた次第です。

ニューヨークの裏路地にあるとあるモーテル。売春婦しか出入りしてないようないかがわしこの場所で教え子を〇〇しようとしてた大学教授のチン○が食いちぎられるという事件が発生。担当するのはチビハゲデブでおまけにホモというマカロニ刑事。ある日現場のモーテルを調べてたところ、男娼婦ビリーが現れる。一戦交えようとしたその時、何とマカロニ刑事までもがタマ○マを食いちぎられてしまう…。俺の○マタマを食った奴は許さねえ!マカロニ刑事の捜査の行方や如何に??…ってなお話。

グッズを片っ端から買いまくりと書きましたが、その後発売されたDVDも当然購入しました。しかしそれは昔の話、最近ではDVDの山の奥底の方に埋めれてしまってたわけですが、ある日ふと思い立ってまだ観ていなかった「日本語吹き替え」モードで再生。これがものすごくよかったのです!理由は後述するとして、本作はチビハゲデブホモのおっさん刑事がチン○を食いちぎったヤツの正体を追うのと同時進行で、男娼婦ビリー、そして元同僚でマカロニ刑事に「目覚めさせられ」てマカロニが忘れられないというドラァグクイーンのバベットとの奇妙な三角関係が描かれてます。ちなみにジャケットパッケージのようなエロセクシーなおねえさんはほぼ出てきません。それどころかメインの3人が3人なのでなのでなかなか絵面的にキツイ(!)シーンがたくさん出てきます。さらに言うなれば勘のいい人ならば割と早い段階で事件の黒幕がわかると思います。「それ、ホンマに面白いんか?」と思うでしょうけどしかし!本作の一番重要なところはそこではないのです!クライマックスで非常に重要なメッセージを発してるのです!日本語吹き替えにすることによってそのメッセージがダイレクトに伝わって来ます。そしてこのメッセージに説得力を持たせるためにはチビハゲデブホモというキャラ設定が必須なのです。また日本語であるが故のパワーワードがてんこ盛り。「(マジ切れしながら)キュッと締まったケツにしか興味がねーんだよ!」とか「その罪深きチン○を差し出しなさい!」とか、字幕では伝えきれない絶妙なニュアンスを日本語にすることによって完璧に補ってます。もちろん字幕でも楽しめます。「チン○13本!」という視界に突き刺さってくる暴力!(これ出た瞬間劇場内が爆笑した記憶)

しかし先にも書いたクライマックスでの重要なメッセージ、おバカB級の影に隠されたこれを20年以上も前に発信していたってとこが驚きでもあります。今だからこそこのメッセージに耳を傾け…何ならリバイバル上映やリメイク製作をしてほしいレベル。性的マイノリティの生き方が注目されてる今だからこそ話題になると思うんだけどなー…。見終わった後に不思議な感動を味わいました。世に出るのが20年早かった。エンディングテーマソングもおしゃれでノリノリでGood!きゃりーぱみゅぱみゅに歌わせてみたら上手くハマる予感。

いろいろ語られている「クリーチャーデザイン・HRギーガー」ですが、映画完成時のインタビューで「今までで一番の仕事をした」という旨の発言をしていたことを付け加えておきましょう。
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