Frengers

黒い画集 あるサラリーマンの証言のFrengersのネタバレレビュー・内容・結末

4.5

このレビューはネタバレを含みます

 家庭と部下の愛人を持つ男の破綻を描いた物語。

 序盤で主人公は既に満たされている。役職、女、平穏な家庭と全てを手に入れている。それが知人の無罪を証明できる唯一の証言者として指名されたことで、つまり社会という第三者が関わる場に出ることで、個人の欲望を満たすためだけに生きることはできないことに直面する話でもあると思われる。自己弁護ばかりである小林桂樹演じる主人公のアリバイ証明のための証言が後半で反転し、冒頭で映る活気ある町の全景に、ラストシーンでは足音とモノローグで殺風景のなか放り出される様は舌を巻くばかり。

 社会的な生き物である人間の利己主義の限界を見た。
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