ShinMakita

バードのShinMakitaのレビュー・感想・評価

バード(1988年製作の映画)
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☆クライマッチョ公開記念・過去イーストウッド・レビュー再掲載



1940年代。カンザスからニューヨークへとやってきたサックス奏者チャーリーは、トランペッターのディジーと組んでビバップジャズで人気を博す。やがて52丁目に自身のアダ名を冠したクラブ〈バードランド〉の開業を計画。内縁の妻チャンの愛も得て順風満帆なミュージシャン生活を送っているように見えたが、実は酒と麻薬の中毒に苦しんでいた。そして1954年。娘の死を機に塞いでいった彼は、ついに自殺未遂を起こし精神病院に入ることに…


「バード」

イーストウッドが監督に専念した音楽伝記映画。音楽に全く詳しくない私でもチャーリー・パーカーの名は知っているし、彼の作った〈ナウ・ザ・タイム〉などは誰もが耳にしているくらいポピュラーだと思います。今回観ていて、「キャバレー」で野村宏伸がやっていた曲だと気がつきました。
前半、回想シーンの天丼が多いのですが、シーンとシーンのツナギをオーバーラップで橋渡ししているのが良かったです。モノクロ映画の頃に多用した手法ですが、劇中の時代とマッチしていて、ノスタルジー効果があるんですよね。医者的には、白人のレッド・ロドニー君が腎結石を偽装して麻薬を入手するくだりが楽しかったですな。

しかし伝記映画としては少々退屈。バードさんがさほど波瀾万丈な人生を送ったかのように見えないのがその理由。破滅型は破滅型ですが、打ち上げ花火ではなく線香花火的な人生というか。同じジャンルの「ジャージーボーイズ」のような集団ドラマで起伏があって、爽快感があれば楽しめたかなぁ…ってこれはバードさんのせいじゃないですよね。チャーリー・パーカーを知る入り口としては最適な作品ですが、イーストウッド映画らしい着眼の面白さとエンタメ要素には欠けた一本でした。
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