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狼は天使の匂いのShinMakitaのレビュー・感想・評価

狼は天使の匂い(1972年製作の映画)
2.7
*追悼・トランティニャン 過去レビュー再録


カナダ・モントリオール。パリからやってきたトニーは、到着早々ジプシーの男たちに囲まれる。彼らの子供を事故で死なせてしまったためだ。何とか開催前の万博会場に逃げ込んだトニーだが、そこで男が撃ち合いで死ぬ場面を目撃する。死んだのはレンナーという警備員で、一万五千ドルの札を握っていた。そのカネを手に逃げようとしたトニーだが、銃撃した二人組に捕まってしまった。レンナーは強盗の一味で、カネを持ち逃げしようとしたところを殺されたらしい。トニーは二人組に手錠をかけられ、アジトに連行されてしまう。そこではリーダーのチャーリーが皆を束ね、トニーを尋問し一万五千ドルを取り返そうと迫ってきた…



「狼は天使の匂い」。ギャング映画ですが、映画の大部分はアジト内の会話劇。いや、ホームドラマですね。冷静で人心掌握に長けたチャーリーが父親、優しく愛情豊かなシュガーが母親。芸術家肌で温厚なリッツィオが長男でボクサーでオツムが弱いマットーネが次男、そして感情的で何しでかすかわからないペッパーが娘。そんな中に、「養子」のような立ち位置で入ることになったトニー。彼が家族になるまでのプロセスが時にほのぼの、何ならユーモラスに描かれるのが特徴です。セリフや小道具、さらにはマットーネがやらかしたある暴力がクライマックスの伏線になるなど、ストーリーの面白さも特筆もの。必見!
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