APO

キャスト・アウェイのAPOのレビュー・感想・評価

キャスト・アウェイ(2000年製作の映画)
3.8
愛する大事な人と大事な時期に、仕事で飛行機事故に遭い、どうにかこうにか無人島に流れ着いたチャック・ノーランド(トム・ハンクス)。孤独な闘いを強いられることになり、生きながらえ愛する人の元へ帰ることが出来るのか。

作品の半分近くを占める孤島でのシーンで、トム・ハンクスが独りで魅せる。その能力に特別長けている訳ではない一般人が突然サバイバルを強いられることになったらこんな感じだろうなと思わせられた。
逞しさや壮絶さが、特に後半彼のひとつひとつの表情から伺える。



(以下ネタバレ含む)


同じ境遇で流れ着いた漂流物のWilsonのバレーボールが心の支えになるチャック。怪我を負い、その苛立ちをボールにぶつけた際に自身の血で絵付けた顔に、そのままWilsonと名付け、共に生活していく。

人は独りでは生きられない。
たかが顔が描かれたバレーボールをチャックは本気で慕い、孤島での日々を送っていた。約4年もの月日を過ごすことになる彼は、崖から首を吊って死ぬことを考えたこともあった。しかし、お先真っ暗な状況でも生き延びようと行動を取れたのはWilsonが近くに居たから、そして遠く家で待つ愛するケリーの存在があったからだと思う。
筏を作り、島を出ることを決意し、その先でWilsonと別れることになってしまったチャック。絶望の中、今にも壊れそうな筏で野垂れ死にそうになる中、一隻の巨船が現れ助かったチャック。

人間社会と孤島でのそれぞれの時間流れを経験し、チャックの中での時間の概念が変わった様子も伺えた気がした。大きく真逆と言っていいほど分かりやすく脚本設定されていた。

ホームに戻り、待望のケリーとの再会かと思われたが、彼女は別人と家庭を持っていた事実を突きつけられるチャック。孤島での経験からくる落ち着き洗練された逞しさの中で、この事実を知ったあとの悲壮感が凄かった。

ひとつのOSTを多用していたのが少し気になったが、それが良いものであったのは事実だから眼を瞑る。
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