APO

ドント・ブリーズのAPOのレビュー・感想・評価

ドント・ブリーズ(2016年製作の映画)
3.5
結論、誰に対しても同情は出来ないが上質なクライムホラー作品。
物語が進むに連れてしっかりと展開があり、中弛みせずにエンディングまで突っ走るちょうど良い長さの作品だった。

この類いのホラーは楽しめることを知ったので、ホラーという言葉だけを鵜呑みにせず、食わず嫌いを辞めたいところ。




(以下ネタバレ含む)






冒頭の映像で金髪女性が道路で血を流しながら引きずられていたので、ある程度の予測はしていた。が、それは安易な想像に終わり逆に嬉しくなった。
というのも、早々にマニーが盲目爺に銃殺され、「あ、これ3人とも殺られていくんだ」と思った。しかし、ロッキーだけは色々と、いや本当に色々とあったが最終的に恐怖のハウスから生還。

所々ツッコミ箇所はあったが、一箇所だけ繋がってない制作ミスを指摘するなら、外の車に逃げ込んだロッキーがトランクに犬を招き入れようとしている際に、背後からのカットが映ったが、切られたはずの穴がパンツの股の部分に反映されていない。そもそもあのカット自体要らなかったように思うが。
何故股部分を切られたかというと、盲目爺はロッキーを監禁して自身の子を産ませようとスポイトで精子を注入しようとしたのだ。ここが寒気ポイント#1だった。比べることではないかもしれないが、単純にレイプされるより執念と悍ましさを感じた。

盲目爺は自身の娘を殺した犯人である女性を自分の子供も産ませるまでベースメントで監禁していた。その人をロッキーたちに逃がされそうになり、殺すことになる。そして捕まえたロッキーが監禁されそうになる。

監禁している時点で盲目爺にも同情は全く出来なくなり、同情心は迷子になったが、そんなものはいつの間にか消えてなくなる、この作品には必要ない。

暗闇と無音と獰猛な大型犬と、スリル満点な要素をふんだんに使い、あっという間に観終わった。
真っ暗な状況下では人はかなり無能になる。無音なのだが、作中音響が作り出す世界観も怖さにやはり繋げている。モスキート音だけには顔をしかめたが。よだれバグの凶暴な大型犬があんな風に迫って来たら腰抜ける。恐怖症になってもおかしくない。そして元軍人の盲目爺は爺というには相応しくないくらい屈強な体を見せつけている。あの強さが本作には必須。

アレックスが死んでしまったのは辛かったが、ロッキーには彼の分まで妹と共にとしっかり生きて欲しい。盗んだお金を上手く使って。

最後に死んだと思っていた盲目爺は案外軽傷で生きており、それを知ったロッキーの緊張感ある表情はGOODでした。
APO

APO