平成2年の男

キャスト・アウェイの平成2年の男のレビュー・感想・評価

キャスト・アウェイ(2000年製作の映画)
3.5
・私はこれを愛と再生の物語として観た。

・「文明社会から無人島へ」「無人島から文明社会へ」二つのパートを経て、主人公は二度最愛の人を失い、それでもなお生きようと己を奮い立たせる。生きたいという想いの根源にあるのは「明日への希望」であると具体的に示した点で本作は秀逸。

・チャック(彼氏)とケリー(彼女)は3年以上もの時を経て再開し、接吻をした。接吻のシーンで俺は色々なことを考えた。
 まずケリーの旦那ついて考えた。もし俺がケリーの旦那側だとこれを許せるだろうか。そもそも彼はケリーがチャックを引きずっていることを知っていたのだろうか。
 つぎにチャックの心境を考えた。ケリーを心の支えにして過酷な無人島生活を乗り切った。その間、ケリーは他の男と家庭を作って幸せになっていた。俺がチャックならばケリーのこれからを応援できるだろうか。
 最後にケリーの立場になって考えてみた。俺はケリーのことを薄情な女性とは思わない。ケリーには幸せになる権利があった。彼女はどう振る舞うのが正解なのだろう。彼女のあるべき姿勢は何だろう。
 三人の立場で考えた結果、愛って惚れたものの負けなのだろうな、と思った。本当にそう。惚れたもんが負けだよ。

・無人島編について言及すると、足の裏や手のひらがボロボロになっていく様がやたらに生々しく視覚化されているものだから、神経ヒュンヒュンしておった。「ロビンソンクルーソー」「十五少年漂流記」「宝島」「蝿の王」等の活字から眺める無人島ライフとはまた違うリアリティがあった。

・FedEx、いいスポンサー。

・トムハンクス、役作りのために追い込んだね。漂流前と生還後とで顔つきが変わっているのは偉い。よく頑張りました。