平成2年の男

竜とそばかすの姫の平成2年の男のレビュー・感想・評価

竜とそばかすの姫(2021年製作の映画)
4.0
・ベルとはなにか?童貞の夢である。世界を夢中にさせる歌姫で在りながら、歌姫の純潔は現実世界と仮想空間を隔てる次元の境界によって保たれている。これを童貞の夢と言わずして何という。

・細田守の童貞力に感服するばかりである。私見だが、細田氏は厨房の頃から、ベルの存在を思い描いていたはずだ。

・最後の歌に、はからずも涙してしまった。

・01:40:50〜

・本作におけるシナリオの役割は「歌姫が歌う舞台の設定装置」である。歌姫がどういう状況で、どういう感情で、どのような歌を歌うのか、そこさえ視聴者に伝わればよいのである。ほかの一切はあくまでお膳立てである。展開のガバガバさが気になって本作を楽しめない方は、なぜ人は物語を必要とするのか、神話のルーツにまで遡って考え直したらどうだろう。理性の放棄も知性の機能のひとつだと私は思う。

・レビュー書いた後に見つけた記事。
https://type-r.hatenablog.com/entry/20210712/hosoda_mamoru