・上質な作品であった。現実にあったこと、という前置きによって、非常にスリリングな仕上がりになっている。
・「盛り上げの場づくりやカタルシスの都合のために仕方なしに加えている伏線」を発見するたびに、作品に対する愛おしさが湧いてくる。さりげなく仕込まれている伏線のようで、全体の文脈と調和しておらず、あざとさが妙に浮いて見えてくると、本当は入れたくなかったんだろうなと、かえってシナリオに対する作り手の愛のようなものを感じてしまうのです。
・地味といえば地味だと思うが、それは生存競争に常にさらされる中で磨かれてきた脚本家たちのストーリーテーキングの技術に我々の脳がシャブ漬けにされているからである。