エイデン

エル・シドのエイデンのレビュー・感想・評価

エル・シド(1961年製作の映画)
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1080年、カスティーリャ王国
この地では、代々住むキリスト教徒と攻め込んできたムーア人の戦いが激化していた
そんな中 地中海の対岸にある北アフリカに軍を集結させたムーア人の王ベン・ユサフは、集まった軍勢に対し、周辺国とカスティーリャ王国の対立を煽って疲弊させ、漁夫の利を得るという算段を明かす
彼はそれを皮切りにヨーロッパや全世界をも手中に収めんと目論んでいた
一方 崩壊した街を訪れていたカスティーリャ王国の若き武将ビバールのロドリゴは、部下と共にこの地の戦闘を引き起こした首謀者であるムーア人、サラゴサ王モータミンとカディアを捕らえていた
絞首刑の準備をしようとするファネスを諫め、ロドリゴは彼らをビバールへと連れ帰ると言う
街を破壊され憤る民衆は、彼らを死刑にせよと口々に叫び石を投げる
しかし父ディエゴは、民衆の意見ではなく彼らを捕らえたロドリゴに改めて処遇を決めるように言い渡す
そこに現れたオルドネス伯爵も処刑を求めるが、ロドリゴは処刑こそ新たな禍根を生むとそれを拒否し、二度と土地を襲わないことをモータミンに誓わせ縄を解く
その行為に感服したモータミンは、ロドリゴを勇気ある戦士の尊称“エル・シド ”と呼び、カスティーリャ王国とフェルナンド王に絶対の忠誠を誓うのだった
だがロドリゴの行いに腹を立てたオルドネス伯爵は彼を反逆罪に問うと、7日以内にブルゴスに行ってその身を差し出すよう要求する
その頃、この日ロドリゴとの婚姻の約束をしていた婚約者シメンは、彼の無事を祈りながら到着を待ちわびていた
するとそこに現れたウラカ王女から、ロドリゴがムーア人との戦闘に参加していたことを知る
続けて現れたシメンの父で王国の最高戦士ゴルマス伯爵は、かねてより跡取りとなる男児を求めており、ロドリゴが来ないのであれば別の男と婚姻してもよいと話す
ロドリゴを深く愛していたシメンは、酷く憤慨しその場を飛び出すが、いち早く城に到着したオルドネス伯爵から、ロドリゴが反逆者となったことを知らされる
やがてロドリゴらが城に帰参すると、フェルナンド王、ウラカ王女、サンチョ皇子、アルフォンソ皇子らの御前で、彼の反逆の疑いについて議論が交わされる
息子を擁護するディエゴと、激しく糾弾するゴルマス伯爵は激しく言い争い、その中で伯爵はディエゴを公衆の面前で侮辱する
その行為を知ったロドリゴは怒り、ゴルマス伯爵に謝罪を求めるが、彼は頑なにそれを拒否
父の名誉のため、ロドリゴはゴルマス伯爵に決闘を申し込むことに
そしてロドリゴの、エル・シドとしての伝説が幕を開けていく



エル・シドと称えられ、叙述詩『わがシドの歌』でも知られる11世紀の貴族にして武将ロドリゴ・ディアス・デ・ビバールの半生を描いた歴史映画

イスラム勢力によるイベリア半島支配を打ち破らんとするレコンキスタの中、武勇を知らしめたキリスト教圏の伝説的な戦士がエル・シドだった
日本での知名度は微妙かもしれないけど、バレンシアの守護という実績もさることながら、伝説化されることによってレコンキスタの正当性の象徴となり、キリスト教圏の兵士達にとって精神的支柱となったとされる騎士道物語の先駆けとなったような人物

3時間を超える大長編に、エル・シドの戦いと冒険、人間ドラマ、ロマンスを詰め込んだ大作
詰め込みすぎでは?とか言わない
とは言ってもあれやこれやと要素だらけなので、中だるみみたいなものも無く、最後までしっかりと見応え十分

この時代の映画ならではだけど、大量の人員を導入したCGを使わない戦闘シーンなんかはなかなか燃える
個人的にはモーニングスターを使った戦闘シーンとか珍しくて感心してしまった

ストーリーも丁寧めに描かれてるので、歴史知らない人でも付いてくることは難しくないんじゃないと思う
変にキリスト教とかに寄ってるストーリーでもないのもわかりやすいかな
あくまで優しさと強さを兼ね備えたエル・シドのカッコよさをしっかりと伝えてくれるストーリーなので受け入れやすい

歴史映画なので最期も描かれるわけで
散々カッコいい姿を観てたこともあるけど、あまりにも堂々たる死なので、思わずエル・シドの名を叫びたくなる
チャールトン・ヘイトン演じるエル・シドの勇姿、そして生き様が輝く名作なのでオススメです
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