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子供の四季 春夏(はるなつ)の巻のzhenli13のレビュー・感想・評価

4.5
ここにも清水宏のエッセンスが満ちている!序盤から落涙。駆ける子ども群像の後ろ姿、部屋から部屋への移動、ロングショットによる山や川や牛や子ども、ディゾルブのジャンプカットなど、清水宏の看板とも言えるしびれるショットがもう何とも言えない塩梅で配される喜びよ。
我々は子どもたちの駆ける姿とともに坂本武が馬に載って駆ける姿を何度も観ることになる。ホルスタインが散在する風景に配される子どもというショットも。また坂本武にもらったお面をかぶった子どもたちの姿は不意にアングラみを帯びる。その動的な面白さに対し、大人だけの場面の陰鬱さがやや退屈なところも無くはない。
「夏」の巻では、善太と三平が土間に立ち、その逆光の後ろ姿とともに山やだだっ広い光景が映されるなかつくつく法師やひぐらしの鳴き声が満ちるというショットが素晴らしく、アピチャッポンを思い出さずにはいられない。というか清水宏作品における子ども演出やショットを観るたびにアッバス・キアロスタミは影響を受けているに違いないと思ってしまう。
欠落・削除部分があるそうで突然終わる。
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