竜平

デッドマンの竜平のレビュー・感想・評価

デッドマン(1995年製作の映画)
3.6
仕事のあてを頼りに故郷クリーヴランドより遠く離れた町マシーンへとやってくる会計士の男がやがて不測の事態に見舞われていく、という話。ジム・ジャームッシュがモノクロで描く西部劇。

舞台が西部開拓時代、で見るからに頼りないというか、どこにでもいそうなフツーの男が主人公。演じるのがジョニー・デップで、ふとした仕草やら立ち振る舞いやら、やっぱり彼って眺めてるだけでも楽しかったりして。更に脇役としてほんのちょびっと出てくるのがジョン・ハート、ガブリエル・バーン、アルフレッド・モリーナなどなど。そんなこんなで、歪んだギターによる渋いBGMと共にドタバタ的な騒動をのほほんと映し出していく。で序盤のちょっとした事件によって主人公が何やら大変なことに巻き込まれていくぞ、こっからがっつり盛り上がっていくぞ、の兆しが見えつつ、しかしそんなに盛り上げてこないのがやっぱりジャームッシュ作品。これはわるい意味では決してなく、こちらの高揚感をスルスルッと回避してくるような、逸る気持ちを制されるような感じ。ジャームッシュ印とでも言っておこう。終盤にも目立ったカタルシスなどない印象で、ここらへん変な期待をしてしまうと肩すかしをくらうかもなんだけど、まぁジャームッシュ作品をいくつか見ていれば安心安定の雰囲気と余韻に浸れるはず。

後で調べて知ったけども、今作には18世紀イギリスに実在した詩人「ウィリアム・ブレイク」の作品やら何やらに関する事柄が至る所に散りばめられているんだとか。主人公の呼び名、所々で出てくるブレイクの詩の一節一節はまさにで、他にも登場人物の名前などもブレイクの詩から引用されてたりするんだとか。まぁ、それらがどういった意味を持つのかまでは正直読み取れなかったけども。ただ深いとこまでわからずともやっぱりダラダラずっと見てられる、そんな一本。嫌いじゃない。
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