竜平

鍵泥棒のメソッドの竜平のレビュー・感想・評価

鍵泥棒のメソッド(2012年製作の映画)
4.1
金なし希望なしの売れない役者がふと訪れる銭湯にて謎の男の転倒事故を目撃、それをキッカケに巻き起こるトンデモ騒動を描く。内田けんじ監督・脚本によるクライムコメディ。

『運命じゃない人』『アフタースクール』と見て完全に気に入ってしまった内田けんじ作品。人間ドラマにシュールなコメディに、ヘンテコなストーリーに構成に、そして教訓のようなちょっとしたメッセージ性に、非常に好み。出演には堺雅人や香川照之などなど。この二人の場面場面の演じ分けは本当に素晴らしいなと。あと広末涼子って永遠に可愛いよな。日の目を見ない役者と、何やら危ない依頼を請け負っているらしい男、二人の状況がひょんなことから入れ替わり、そこからそれぞれの人生が一変する。両者の設定が絶妙に絡み合う様、会話や行動がその都度上手い方向に転がったりもして、なんとも喜劇的で楽しい。ちょうど両者の顔や姿を知ってる者がいなかったりしてしれっとその場が成立しちゃう、みたいな強引さにも笑ってしまう、ここらへんは御都合主義とか言わずに見ていたいところ。またそこに広末涼子扮する「結婚したい女性」も絡みつつ、巡り合わせやら勘違いやらが重なっていく。で、次はどうなるのかと、巻き起こる出来事とその行き着く先が気になっていつの間にか見入ってしまう、ってのがまずあって、後々出てくるのが内田けんじ作品らしいと言える伏線回収やどんでん返し的な展開、これもやっぱり見もの。

いろいろ発展していっての、終盤の落とし所には笑ってしまった。キレイにまとまるというわけでなく、しかし全編通してしっかり布石が置かれてたことに見終わって思い返して気づく感じ。要するに、人生に於いて切っても切れないもの、じつはみんな根底に持ってるものに、どんな形であれ振り回される運命なんだろうなーなんて、おっとこれ以上は言わないでおこう。軽めに見入れる良作。
竜平

竜平