「ぱにっぱに、ぱにっぱに、ぱにぱにパニック♪」
デビッド・フィンチャーといえば、「セブン」「ファイトクラブ」「ドラゴン・タトゥーの女」と映画ファンなら誰もが見たことのあるような作品ばかり。
ミュージックビデオ監督出身なだけあって、その画作りのこだわりは特に評価されており、刺激的な作品が多い。
が、そんな彼でも不評な作品が2つある。
1つめは「エイリアン3」。
そして「パニックルーム」だ。
実は本作をみるのは2回目だ。
初めてみたのは午後のロードショーかなにかで昼にやっていた。
小さい時であったのであまり記憶にないが、パニックルームに閉じこもるというワンシチュエーションものにワクワクした記憶がある。
よく言われているのはフィンチャーらしさがないといった意見だ。
まとめて言えば”普通”ということである。
まずフィンチャーらしさで言えば、鍵穴にカメラが覗き込みそのままグーンと移動していくカメラワークや、「ドラゴン・タトゥーの女」あるいは「エイリアン3」等に描かれている通り、女性の強さやたくましさといった主張はフィンチャーっぽさを感じるところはあるだろう。
が、普通と感じてしまうのはこの作品のスケール感がどうしても小さいこと、あるいは単純なエンターテイメントな作品であったためにそういった印象を抱いてしまう。
確かに悪く言えば普通であるが、良く言えばクラッシックな作品であり、特別悪く言う作品でない。
むしろ、どのチャプターからみても内容が理解できるあたりは優れた作品なのではないだろうか。
また本作は主演のジョディ・フォスターになる前に、ニコール・キッドマンで撮影を開始されていた。
が、膝の調子を訴えて手術となってしまい、ジョディ・フォスターが代わりに抜擢された。
こういったドタバタな状況でつくられたことを加味すると、十分まとめてくれたのではないかとおもう。
ただ、どこまで脚本に変更が加わったのかはわからないが、なんとなくジョディ・フォスターのキャラクターに大きく寄せたような感じがあり、そのあたりに裏切りがなく、つまらなさを感じる要因でもあるのはたしかだ。
それに、パニックルームという設定を上手く活かせていたのかというのは疑問で、文字通りパニックするだけの部屋になってしまっていたのは残念である。
トータルでみればちょうど良さを感じる映画であったのだが、多くの人はスリムクラブの真栄田のように「いいよぉ!」とはならなかったようだ。