みかん

クラッシュのみかんのレビュー・感想・評価

クラッシュ(2004年製作の映画)
3.8
ロサンゼルスで起きたある交通事故を起点とした、人と人との心の衝突を描いた群像劇。

様々な人種が暮らすアメリカ合衆国。
理不尽な差別・偏見による、嫌がらせや憎悪。

登場人物が思っていたより多く、さらに意外なところで繋がっていくので、しっかり観てないといけないタイプの作品。

でも、それだけに見応えアリで、緻密なシナリオはさすがアカデミー作品、脚本、編集賞受賞作!複雑な人間関係や背景、ドラマを見事にまとめてます。

前半は人種差別問題をテーマとした社会派ヒューマンドラマかと思いきや、中盤の(冒頭とは違う)交通事故をきっかけに、それ以後から本番といった感じで次々に心に突き刺さるような衝撃受けました。

前半で、この人は善人、この人は悪人と、まさにその人の一面だけで思い込んでしまっていて。

いい意味でも悪い意味でも、まさかそんな事この人がするわけない、というのがもう偏見で。

善と悪、どちらか一方だけな人間なんていない。

ただ、生まれも育ちも姿も考えも違う様々な人間の善行と悪行の連鎖反応が複雑に絡み合って、衝突しながら社会や人生は織り成されていく。

心のクラッシュをして、痛みを知る。
怒り、憎しみ、悲しみ、苦しみ。
人は人とぶつかり合って傷つけ合う。

けれど、人は人と心で触れ合って、愛を知る。

人は、心の衝突を免れて生きてはいけない。

大事なのは何故ぶつかってしまったのかを知ること。
お互いの心に触れ合って真に本心を知ることだと思いました。

ラストのお守り切なかったです…。


★ ロサンゼルスでの交通事故を起点に、地方検事とその妻、黒人刑事とその相棒でスペイン系の恋人、TVディレクター夫妻、雑貨店を営む家族、鍵の修理屋など、様々な階層・人種・職業の、一見無関係に見える人々の生み出す人種間の偏見や、それによる憎悪が、様々な事件を引き起こし、思わぬところで繋がっていく、、。
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