みかん

ザ・ピーナッツバター・ファルコンのみかんのレビュー・感想・評価

3.8
ジョージア州サバンナ郊外を舞台に、孤独を抱える漁師と、プロレスラーを夢見て施設を脱走したダウン症の青年の偶然の旅と冒険を描くハートフルストーリー。

まず、この映画の制作経緯が映画みたいで感動しちゃいました。

障がい者向けのキャンプで、ダウン症の俳優ザックが、"映画スターになりたい"という夢を監督と脚本家に話したら、ハリウッドには障がい者の出演を想定した作品は少ないので難しいと返答。そこでザックは、じゃあ君たちが作ってよ、とお願いし、実現したとの事。

知的障がい者というと、「アイアムサム」で主人公の友人たちを好演した方々が思い出されましたが、本作は主演。しかも、演技科卒の本業の俳優さん。世の中が偽善ばかりじゃないと、何だか希望を持たせてくれる事実に喜びを感じました。

と、いうことで、見どころはやはり主人公ザックの見事な演技。

初め、相棒のタイラーと同様、ダウン症の彼が一緒に旅するのは難しいだろうと思ってしまってましたが、秒でイメージ覆されました。猛省です。

道中見せてくれるエネルギッシュさや温かさ、ユーモアなど楽しかったです。

それと、スリルあるシーンもあるものの、作品全体を包む穏やかな雰囲気と風景がとにかく綺麗で、思わずいかだで旅してみたくなってしまいましたw

また、"施設を脱走"というと「カッコーの巣の上で」が頭をよぎりましたが、こちらはコミカルに観れるのもよかったです。

ストーリー自体はシンプルだけど、人間らしく生きる、自由を謳歌する、夢を追いかける、など改めて考えさせてくれる、純粋な優しさや勇気に彩られた、心温まる作品でした。


★高齢者の養護施設で暮らすダウン症の主人公ザックは、子どもの頃から憧れていたプロレスラーの養成学校に入ることを夢見て、ある日施設を脱走。

一方、兄を亡くし孤独な日々を送っていた漁師のタイラーは、盗みがバレてボートに乗って逃げ出すが、そこにはザックが乗っていて、、。
みかん

みかん