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1917 命をかけた伝令のみかんのレビュー・感想・評価

1917 命をかけた伝令(2019年製作の映画)
4.3
第一次世界大戦中の1917年4月仏の西部戦線。最前線にいる仲間1600人の命を救う命令を伝達するため、敵陣に身を投じて駆け抜けていく若き兵士の姿を描いた全編ワンカットムービー。1917年出征し、伝令係を務めたサム・メンデス監督の祖父から聞いた話を基にした戦争ドラマ。

「ゼログラビティ」の冒頭部分長回し一本のワンカットから、「バードマン」でまさかの全編ワンカット。からの「1917」で、ワンカットのカメラワークの雰囲気はわかっていた気がしてましたが、さらに進化を遂げた表現で驚きました。(監督はワンカットでなくノーカットと呼んで欲しいという解説見ましたがw)

夜を挟んで、自然主義的描写から神話的描写へ切り替えているとのことですが、市街地戦の街の構図(戦火の中に浮かぶ十字架など)は圧巻でした。

あちこちに転がる遺体や爆破で抉れた地面。
不意を突いて狙ってくる銃撃に、無差別に撃ち落とされる爆撃。
時間が無い焦りと緊張。

ノンストップで進行していくけど、緩急がバランスよく、最後まで目が離せませんでした。

制作にあたって、第一次世界大戦の戦争体験記を綿密に取材しており、塹壕の様子や牛乳のエピソードなども実話に基づき再現したり取り入れたりしてるとのことで、すっかり約100年前のいち兵士の戦争を追体験してるような気分になりました。

とはいえ、私だったらこんなとこ突破するの無理だわ…と、度々心折れてしまいましたが、命懸けの大移動の中、何度も諦めそうになっても立ち上がる姿に勇気をもらえました。

特に、最初たまたま指令を受けた仲間の近くの木にもたれて仮眠とってただけで、こんな大役を受ける事になったスコフィールドの涙ぐましい成長には、心打たれました。

戦場に限らず、人生はこんな風に、どんなに辛いことがあっても時間は止まってくれない。ただひたすら進んでいくしかない。大切なものを失っても、希望を見失っても。また顔を上げて歩んでいかなければならない。と、痛感させられました。

撮影技術も素晴らしかったですが、人間ドラマとしても素晴らしい作品でした。


★1917年4月フランス。イギリス兵のスコフィールドとブレイクは、ドイツ軍の罠とは知らず作戦を展開する前線の部隊に、作戦中止の伝令を届ける任務を上官から託される。
14.5キロの道のりで、6〜8時間かかるという地点まで、ブレイクの兄を含む仲間1600人の命を救うべく2人は駆け出すが、、。
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