ひでやん

男はつらいよ 寅次郎相合い傘のひでやんのレビュー・感想・評価

3.9
うれしはずかし相合い傘。

シリーズ15作目のマドンナは、浅丘ルリ子演じるリリーが再登場。寅さんの旅は北海道、家出した中年男と知り合って、でっかい大地のちっちゃな屋台でリリーとバッタリ。気ままな3人の道中が楽しい。

宿の赤電話から電話する寅さんが「10円玉がない」と叫ぶと、とらやにいるおばちゃんが10円玉を出して渡そうとするシーンで笑った。そして名場面の「メロン騒動」が最高。寅さんの説教はごもっともだが、ちっちゃい。ちっちゃい事だが忘れた事が大問題。大で頷き、小で笑う喜劇が最高。で、説教した寅さんを一喝するリリーが最強。

自分に金があったら大きな舞台で歌わしてやりたいと夢を語るシーンも印象的。情景を目に浮かべながら抑揚をつけて優しく語るので、聞き入ってしまう。寅さんの語りは人を引き付ける力があるので啖呵売のシーンもいいね。「三三六歩で引け目がない。 産で死んだが三島のお仙」て、聞いてて気持ちいい。

「あいつもオレとおんなじ渡り鳥よ」

本気でも、冗談にされたら冗談になる。たとえ惚れても似た者同士。ツンにツン、デレにもツンなら喧嘩が絶えない。いつかは飛んでく鳥ならば、せめて今だけひとやすみ…。どちらかと言うと、ふられたのはリリーの方だったように思う。
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