こたつむり

父親たちの星条旗のこたつむりのレビュー・感想・評価

父親たちの星条旗(2006年製作の映画)
3.4
★ 父が遺したもの 僕が遺していくもの
  今も歴史は刻まれていく…

「所変われば品変わる」とまで言わなくても。
立ち位置さえ変えれば影の形は変わるわけで。
戦争反対だと思えば賛美していたり、良い人だと思えば犯罪者だったり。絶対的な評価など存在しないのです。

ゆえに戦争にも絶対的な正義などあるはずもなく。ひとつの局面を違った立場で描けば、様相が変わるのも当然の話。本作は、その“当たり前”に正面から挑んだ二部作のひとつでした。

これはとても公平な姿勢ですよね。
だから、本作だけで評価するのは違うのでしょう。対となる『硫黄島からの手紙』を鑑賞したうえで、俯瞰して捉えたほうが良いのです。

特に美談だと感じてしまう部分。
自分が日本人だから思うのかもしれませんが、彼ら(アメリカ兵)を肯定する描写に拒否感があるのは否めません。

しかし、友のために、家族のために戦うこと。
それは、国籍が違っても同じ話。勝利を得たアメリカでも内情を見れば火の車だし、刹那に散る人命に無情さが漂うのは、どの国でも変わらない…そんな「戦争なんてロクなもんじゃない」という想いは、しっかりと根底に流れていました。

それに国家のために命を散らした人に敬意を表すのは当然のことであり、それが無駄だったなんて言えるわけもなく。時系列をシャッフルすることは出来ても、人の想いを変えることは出来ないのです。

また、戦場の臨場感は他の作品に劣ることはなく。緊迫感と無常感が交互に訪れる演出は見事でした。だから、胸が痛くなるのですよ…。この筆致はさすがのクリント・イーストウッド監督。安定感ばっちりです。

まあ、そんなわけで。
敗戦国の立場で捉えると鼻持ちならない部分があるとは言え、それでも公平に描かれた物語。立場が変われば見方も変わる…そういう想像力を鍛えるにも役立つと思います。想像力はどんな場合でも大切ですからね。