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暗黒街の美女のこたつムービーのレビュー・感想・評価

暗黒街の美女(1958年製作の映画)
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気づけばアマプラが清順ラインナップ充実してる!!と刮目鑑賞。

1958年産。
いやー。ちゃんと楽しませてくれる清順。
それも日活後期ボリュームゾーンの60年代ではなく、しっかり50年代からちゃんと良いのが嬉しく、保存の悪さ(画質はSDでテープノイズすらある)など気にならない。

ノワールマナーとでも言うべき地下水脈。
その「水」とは最後のまさかのサウナバトル(この意外性)までつなげ、石炭とダイヤをかけてみせる。原作脚本・佐治乾の遊び心か。
アキコの男遍歴も石炭→ダイヤへの移行を示唆し実に気が利いている。「退屈か?」いいねえ。がっつり堂々娯楽作だ。

カーテンを裂くナイフの演出。
移動するダイヤ入り「ボディ」。その運搬を追いつつ運転席を捉えるワンカット、など。
随所に光るが、とくに清順っぽいなあと感じるのが、ラストの事務所のトラックショットの数々。無駄にさえ感じるパン、モノクロームに映える足の影、人物の距離感を映す何気ないショット。それらに緊張感と色気が滲み出る。ザ・清順だ。

白木万理。主演としてはほぼイントロデュースだろう。それに必殺シリーズ以外の白木万理を拝める点でも相当に珍しく素晴らしい作品。水島道太郎演じる宮本も清順好みのマイトなダークヒーローに仕上がっていてステキ。