三人の少年の歯車を狂わす忌まわしい事件。
それは、まるで腫瘍のように彼らの人生のしこりとなった。
その事実を忘れようと、いつしか三人はお互いを避けるようになる。
そして、25年の月日が経ち、三人が関係者となる事件が発生する。
再び、集められる三人。疼き出す古傷に、真相は霞んでいく。
川底に沈めたかった『暗闇』は、その泥土をゆっくりと攪拌させ、再び三人の運命に絡みつく。
以下、ネタバレ、感想を含みます。
悲しい負の連鎖に、胸が痛んだ。幼少の頃の三人を襲った事件が、それぞれの内に大きな重石となり、その先の人生すらも左右してしまう。
人生を振り返る時、あの事件がターニングポイントになってしまったと、心の奥でその悲劇を呪う。一生乾くことのない瘡蓋に覆われながらも、デイブだけは自分の傷と向き合っていたのではないだろうか。
三人全員に、傷口をしっかりと見つめる勇気があったならば、こんな悲しいすれ違いは無かったのかも知れない。
連鎖はおそらく、まだ途絶えていないだろう。