OASIS

アイス・ストームのOASISのレビュー・感想・評価

アイス・ストーム(1997年製作の映画)
3.4
1973年のアメリカで、郊外に住む二つの家族の間で起きる不倫や子供たちの秘密の関係を描いた映画。
監督はアン・リー。

ケヴィン・クラインやシガーニー・ウィーバーを始め、イライジャ・ウッドやトビー・マグワイアといった錚々たる面々が登場する本作は、ケイティ・ホームズのデビュー作だそうな。

そして、何よりクリスティナ・リッチの14歳とは思えぬ(実際は17歳くらい)妖艶さによって危うい関係の背徳感が増している。
精通もしていない男の子に「アソコを見せて」と要求したり、親のベッドで裸で抱き合ったりと、肉付きの良いボディで誘惑する。
イライジャ・ウッドとの濃厚なキスシーンのまぁエロい事。
しかもそのシーンが落ち葉のたまったプール内というお洒落な場所で、それを真上から撮ったりとカットもいちいち印象に残る。

大人達も、子供がいるのに堂々とベッドを共にしたり、スワッピングパーティに参加したりと開けっぴろげに性生活を謳歌する。
それに感化されたのかは分からないが、子供達の行為もエスカレートして。
しかも、それを咎めようにも自分を顧みると何も言えない状況なのがまた親子の距離を感じさせる。

ウォーターゲート事件直後の出来事ゆえ、他者の生活に過干渉する事が憚られる世の中でそのスレスレのスリルを味わう大人達と、その子供。
世の中への鬱憤を晴らすように爆竹やムチであらゆるモノを壊したりする子供達への言い知れぬ恐怖はやがて現実のものとなる。
その犠牲となる彼の行動にはクエスチョンマークが浮かぶものが多かったが、迫り来る氷の嵐は善悪の判断無く飲み込んでしまうという所に自然の無慈悲さを感じる。

欲望の渦の中心とは縁遠い場所にあるトビー・マグワイアとケイティ・ホームズのやりとりにはほっと胸を撫で下ろす場面もあって、何も知らない彼が唯一この映画の中で幸せ者なのかもしれない。
ラストシーンの氷柱を照らす光も美しく、寒々しい映像が続いていた物語に僅かだが望みが見えた気がした。
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