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バッド・ルーテナント/刑事とドラッグとキリストのmareのレビュー・感想・評価

3.5
ダメ男の映画は基本面白いと思っているが、それに拍車をかけるようなハーヴェイ・カイテルの凶暴さが合わされば生々しく実録モノのような鋭利さが宿る。刑事の肩書きはギャップというよりも設定の一つに過ぎず、一人の人間のはみ出しまくった倫理観を見続けることになり、ドラマ性を排除したドラマのような淡々さが残る。しかし悪事を繰り返すだけのリアリティの反復というだけでなく、終盤にかけてはごく自然にフィクションへと繋がっていく思いがけない揺さぶりが用意されている。後悔してももう遅いと、目先の欲望に溺れていき、気づいた頃には自身の弱さに囚われてしまった男の生き様。
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