ShinMakita

不毛地帯のShinMakitaのレビュー・感想・評価

不毛地帯(1976年製作の映画)
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☆俺基準スコア:2.4
☆Filmarks基準スコア:3.6




昭和20年8月。
停戦命令書を持って満州関東軍に向かった大本営参謀・壱岐正中佐は、負傷した親友・川又を日本に帰すため満州に残り、ソ連軍を前に武装を解いた。そして11年…壱岐はシベリア抑留生活を送ることとなる。

昭和33年。日本に戻って2年を経た壱岐は、世界的商事会社「近畿商事」に採用された。防衛庁空将補となった川又から何度も自衛隊に来るよう誘われていた壱岐だったが、家族のために二度と軍事に関わる仕事はしないと決意していたのだ。そんな壱岐の気持ちを汲んで社長・大門は、彼を繊維課に配置。だが、次期自衛隊戦闘機(FX)採用コンペが始まると、川又と繋がりがある壱岐を利用してしまう。川又は近畿商事が推すラッキード社F104をベストと考えていたが、航空機を選定する総理ら閣僚の「国防会議」は「東京商事」の推すグラント社〈スーパードラゴン〉を選ぼうとしているらしい。「東京商事」はかなりの〈実弾〉を総理側に送っているのだ。大門に騙されラッキードF104のテスト飛行を見学させられた壱岐は憤慨する。しかし、これが明らかにグラントよりも優れた機体だとわかり、しかも東京商事とグラントが〈実弾〉だけでなく防衛庁を動かし川又を左遷させようとしていることを知ると、壱岐はラッキードF104採用に向け裏工作に着手することにした。信念を曲げてでも、抑留中に家族を援助してくれた川又を救うために……



「不毛地帯」


山崎豊子・山本薩夫タッグの三作目。壱岐という抜け殻男がラッキードの工場に行ってから燃えあがっていくサマと、政治家と組んだ貝塚官房長のモラハラと壱岐の策略のとばっちりで転落していく川又の悲劇の対比。最後に飲んで駅で別れる2人の姿になんかしんみりしてしまいます。オールスターキャストの長尺で政治家と経済界の癒着を描いたドラマですけど、芯はこの2人の友情話。「白い巨塔」同様、原作の途中までしか映画化されてないんだけど、ここから後、壱岐がどんな人生を歩んだのか凄い気になってしまいます。壱岐=仲代達也、川又=丹波哲郎の2人はもちろん、貝塚役の小沢榮太郎の悪役ぶりが素晴らしかったですね。
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