前方後円墳

カクトの前方後円墳のレビュー・感想・評価

カクト(2002年製作の映画)
1.0
タイトルのカクトとは漢字で表記すると、"覚人"または"覚都"となる。これは"目覚める人、都市"を意味する伊勢谷自身による造語だ。
そして、この物語では主人公であるリョウ(伊勢谷友介)が人を信じるとことに目覚めるのだ。
世の中はすべて嘘だと思っているリョウは誰も信じずに生きている。お互いの利害関係が人のつながりを行動させている。これは大きな意味で真実だ。しかしそれだけで人が生存し続けることなど無理なのだ。人間はそこから突き抜けて、突き動かされるものなのだ。

友達と3人でドラッグを調達する夜の出来事が描かれる。3人はそれぞれがまったく違う性格とノリで、その掛け合いが楽しめる。リョウ×3人みたいな作品だったらどれだけ鬱陶しい作品になっていただろうと思う(当然映画としてつくるわけもないのだが……)。映画として完成はしているし、台詞が自然で面白い。しかし、エピソードを詰め込みすぎたのか、まとまっていないのか、とてもテンポが悪い。そして一晩で彼が目覚めるにはきっかけが弱い気がする。