前方後円墳さんの映画レビュー・感想・評価

前方後円墳

前方後円墳

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六月の蛇(2002年製作の映画)

4.0

作品全体には"生"と"死"の隠喩が散りばめられており、自脱=エクスタシーに向かって映像が流れていく。

題名にもある"蛇"とは水の神であり、禁断の果実に導く者でもある。雨降る六月に辰巳りん子(黒沢あす
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内なる傷痕(1970年製作の映画)

4.0

女(ニコ)の心の世界を描く映像詩。
そこで感じたことは、心象風景。冷たく、壊れそうな、まっさらな景色。白痴のような映像。そこにある無邪気な罪。聞こえてくる歌声は最後の慰め。
前衛的とも言えるこの手の作
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LIES/嘘(1999年製作の映画)

1.0

異様な空間が創り出されている。愛してもいない俳優同士が終始SEXとSMのシーンを演じる。その繋がりあっていない者たちの中で愛を感じることなどできなかった。切実なほどの執着がまったく感じられないのだ。

三人三色(2004年製作の映画)

1.0

「インフルエンザ」
表情のない監視カメラはひとつの犯罪をただ捕らえている。
リアリティの有無よりも、その乾燥した時間の流れに痛みや血の赤さがノイズとして処理されてしまうようだ。

「夜迷宮」
悲壮感も
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心中エレジー(2005年製作の映画)

2.0

物語の時間軸のずらしが上手く、4人の物語の絡み合いが作品に深みを与えている。
ただの不倫映画のようだが、その構成のうまさと4人の日常生活の加速的な崩れ方で緊迫感が出ている。4人が順番に切り替わるように
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OLDK オーエルディーケー(2004年製作の映画)

1.0

6人の監督が女性を主人公に愛とエロスを描く『ラブコレクション』のシリーズ。
とにかく失恋やらと滅入っている主人公だが、毎日ご近所さんがあらゆる騒音などの近所迷惑で、自殺を決め込むのだが、その展開自体が
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さらば、わが愛 覇王別姫(1993年製作の映画)

3.0

近代中国での時代の流れに翻弄された京劇役者の蝶衣(レスリー・チャン)と小楼(チャン・フォンイー)の物語。映像や物語自体は古風で地味ながらもその苦味は相当なものだ。
基本は男でありながら、同姓の小楼を愛
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ツィゴイネルワイゼン(1980年製作の映画)

5.0

大正三部作第一弾。内田百閒原作『サラサーテの盤』を映画化。
ツィゴイネルワイゼンとはヴァイオリニストで作曲家のパブロ・デ・サラサーテの曲で、"ジプシーの歌"と意味になる。まるで、劇中で放浪を続ける中砂
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SF サムライ・フィクション(1998年製作の映画)

2.0

笑えるような笑えないようなベタベタの時代劇だ。
軽やかなテンポのわりに物語そのものは王道。多くの時代劇のエキスとCGを駆使したその出来栄えは、これまでの時代劇とは違うスタイリッシュなものになっている。
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SURVIVE STYLE5+ /サバイブ スタイル5+(2004年製作の映画)

4.0

映像が絢爛でさらにスピード感がある。そしてスタイリッシュ。COOLという単語が良く似合う。

妻を殺す夫(浅野忠信)と何度殺しても蘇る妻(橋本麗香)。
アイデアをテープレコーダーに吹き込んでみては、ニ
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ココロとカラダ(2004年製作の映画)

1.0

6人の監督が女性を主人公に愛とエロスを描く『ラブコレクション』のシリーズ。
安藤監督は女性の友情の中で起こるすれ違いを描くことが上手い。そして、この作品では二人の痛々しいほどの傷つけあいと自虐を繰り返
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ラストシーン(2001年製作の映画)

1.0

かつての映画撮影所に関わった内輪盛り上がりのようなノスタルジックな物語。DVDのパッケージに麻生久美子の顔が大きく出ているが、彼女は本作品の主役ではなく、主要な役割を果たしているものの、物語をひっぱっ>>続きを読む

アメリ(2001年製作の映画)

4.0

空想でこれまで生きてきたアメリ・プーラン(オドレイ・トトゥ)の現実世界に飛び出すためのファンタジー。
生い立ちから普通にコミュニケーションがとれないアメリが人を幸せにすることを趣味にして、ストーキング
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オアシス(2002年製作の映画)

5.0

社会に適合できない男と脳性麻痺の女の恋愛物語。
その偏見の中で映し出された映像は異様なまでの強さを持っている。
これまで身体障害者を描いた作品は多いが、重度の脳性麻痺者をヒロインとして恋物語を語った作
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この森で、天使はバスを降りた(1996年製作の映画)

3.0

観るタイミングによっては泣ける作品。
刑務所から出所したパーシー・タルボット(アリソン・エリオット)と村人たちのヒューマン・ドラマだ。
小さな村に入ってきたよそ者パーシーへの冷たい目は予想できるものの
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クロエ(2001年製作の映画)

5.0

花は散るらむ。
アヴァンギャルドなボリス・ヴィアンの『日々の泡』を粉々に破壊し、日本製の違う作品として再構築できているところがすばらしい。そして原作のもつ絶望感とその美しさはしっかりと息づいている。
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カクト(2002年製作の映画)

1.0

タイトルのカクトとは漢字で表記すると、"覚人"または"覚都"となる。これは"目覚める人、都市"を意味する伊勢谷自身による造語だ。
そして、この物語では主人公であるリョウ(伊勢谷友介)が人を信じるとこと
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閉じる日(2000年製作の映画)

3.0

期待の6人の監督たちが全編デジタル・ビデオで撮りあげた《ラブシネマ》の第3弾。
姉弟である我妻名雪(冨樫真)と我妻拓海(沢木哲)の近親相関関係。オープニングからその事実を伝え、さらに二人が横たわるベッ
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愛に関する短いフィルム(1988年製作の映画)

4.0

「デカローグ」の一編から再編集したものだが、より一層孤独な二人の心情を丁寧に表現している。繊細な人間の機微を捉えた傑作だ。

みんなのいえ(2001年製作の映画)

1.0

土地か購入し家を建てる夫婦に関わる人たちのコメディドラマ。が、飯島直介(田中直樹)と飯島民子(八木亜希子)は存在感は薄く、デザイナー、柳沢英寿(唐沢寿明)と大工、岩田長一郎(田中邦衛)のガチンコ勝負が>>続きを読む

3月のライオン 後編(2017年製作の映画)

1.0

羽海野チカ原作漫画の実写映画化の後編。
17歳のプロ棋士、桐山零(神木隆之介)の人間としての成長の成果を見せる本作となるのだが、実際に前編でばらまいた登場人物たちの問題を回収していくのだが、短い時間の
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3月のライオン 前編(2017年製作の映画)

3.0

羽海野チカ原作漫画の実写映画化の前編。
17歳のプロ棋士、桐山零(神木隆之介)の青春群像劇ととらえればいい。それぞれ癖のある訳ありの登場人物を揃え、その中で人のつながりの大切さを知っていく物語なのだが
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殺人に関する短いフィルム(1987年製作の映画)

4.0

冷たい目

「愛に関する短いフィルム」と同様に「デカローグ」から再編集されたもの。
殺人に対して登場人物を容赦なく突き放し、淡々とした描写で映像化をしている。だからこそ観るものの心情に直接はいりこみん
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模倣犯(2002年製作の映画)

1.0

宮部みゆき原作小説を映画化。
滅多ににないことなのだが、この作品の鑑賞後はだんだん腹立たしさを感じてしまい、今でもそれは残っている。
原作と比べる必要はないが、この作品の物語自体があまり面白くないのは
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曼陀羅(1971年製作の映画)

3.0

濡れ場はなかなかの映像美だ。古さを感じさせない。
延々と吐露された思想についての是非はともかくとして、人間の夢見る幻想が滲み出ている。しかし自我の飽和を果たしてしまった現在で、この作品はすでに遺物なの
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三面夢姿繪 -みつおもてゆめのすがたえ-(2000年製作の映画)

2.0

大正ロマン三部作のひとつで『夢二人形』の続編。
画家である竹久夢二(渋谷育男)、伊藤晴雨(光宣)、藤島武二の前で3つの顔を使い分けた伝説のモデル、お葉(佐藤雪江)の姿を描いたミステリーである。
夢二に
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EUREKA ユリイカ(2000年製作の映画)

5.0

第53回カンヌ国際映画祭で国際批評家連盟賞エキュメニック賞(全キリスト教会賞)、ベルギー王立フィルムアーカイブでグランプリ、シンガポール国際映画祭で最優秀アジア映画賞を受賞。
バスジャックで生き延びた
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恋愛寫眞 Collage of Our Life(2003年製作の映画)

3.0

堤幸彦監督には珍しく、コメディ色の微塵も感じられないベタベタの恋愛物語だ。が、監督作品の『溺れる魚』に似たような悪ノリを感じることができる。
瀬川誠人(松田龍平)が学生時代に付き合っていた恋人である里
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でらしね(2002年製作の映画)

2.0

でらしねとはフランス語で根無し草の意。
奥田瑛二の芸術家としての顔を堪能できる。というか自分の才能を観てほしい作品なのではないだろうか……。
ホームレスの絵描きである水木譲司(奥田瑛二)が橘今日子(黒
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老人Z(1991年製作の映画)

3.0

大友克洋の原作・脚本のわりにちゃんと娯楽ものとして楽しめる。監督の手腕であろう。
登場する老人たちのパワーと頭脳が驚くほどの優秀なスペックでのんびり余生を楽しんでいられるようなタマではない、めちゃくち
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隣人13号(2004年製作の映画)

1.0

井上三太原作漫画を実写映画化。
かなり衝撃が強い作品になっている。13号(中村獅童)の残虐性だけでなく、村崎十三(小栗旬)と13号の対峙シーンでは二人ともオールヌードで驚かされたりと斬新かつ印象的な映
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偶然(1982年製作の映画)

3.0

電車に乗ることができるかどうかというところから始まる人生の分かれ道を三通り描いているのだが、主人公の発言と行動に何一つ一貫性がない。あまりにも出会った他人に影響されすぎているとしかいいようがない。それ>>続きを読む

コーヒー&シガレッツ(2003年製作の映画)

5.0

コーヒーと煙草にまつわる11篇の掌編オムニバス作品。決して、万人受けするような代物ではなく、ツボにはまるかはまらないかでかなり評価が変わる作品だ。
登場人物はそのまま自分の名前で出演しており、基本的に
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八つ墓村(1996年製作の映画)

1.0

横溝正史原作の映画化第5弾。
サスペンス映画としての映像の色は感じられるものの、どこかおどろおどろしさはない。それは"たたり"としての奇怪な連続殺人に対する気味の悪さ、そして謎が解けた後の登場人物に対
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ガールフレンド(2004年製作の映画)

2.0

6人の監督が女性を主人公に愛とエロスを描く『ラブコレクション』のシリーズ。
愛とエロスという題材のせいか、かなり強引な愛情描写をしている。女性が女性のヌード写真を撮ること自体は問題ないが、終盤にお互い
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ウォー・レクイエム(1989年製作の映画)

2.0

ヴィジュアル・オペラとして台詞がないこともあり、ティルダ・スウィントンの表情の強さと美しさが際立っている。
映像そのものはだらだらとつまらないものが多いが、戦争が大切なものをひとつずつ壊していく行為だ
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