千年女優

カエル少年失踪殺人事件の千年女優のレビュー・感想・評価

カエル少年失踪殺人事件(2011年製作の映画)
3.5
1991年3月26日、地方選挙で賑わうデグ広域市タルソ区で五人の少年が行方不明になる失踪事件が発生。彼らの最後の言葉「カエルを採りに行く」から『カエル少年事件』と呼ばれて衆目を集めるも事件は解決せず。1996年、強引な手法で視聴率を集めるやり手のテレビドキュメンタリ監督のカンが事件の真相を追う様を描いたドラマ映画です。

2003年の『殺人の追憶』、2007年の『あいつの声』に続いて奇しくも同じ1991年に発生した韓国の「三大未解決事件」のひとつを描いた2011年公開の作品で、サスペンスやスリラーを得意とするイ・ギュマン監督が残された「カエル少年事件」をリュ・スンリョン、パク・ヨンウといったキャストで描いて悲痛な物語が観客の胸を打ちました。

未解決事件らしく「五里霧中」を描く点では共通していても、『殺人の追憶』の刑事、『あいつの声』の家族とはまた異なるTV作家という「外」の目線から綴ります。後半に彼が「改心」してからはやや散漫にはなりますが、被害者ではない者にとっての「事件」への関心が、いかに不純で、いかに軽いものなのかを的確に捉えている一作です。
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