IwaoKatsumura

ラスト・アクション・ヒーローのIwaoKatsumuraのレビュー・感想・評価

5.0
2020 9月某日。サブスク、吹き替えで銀河王と二人で試聴。シュワちゃん映画なんですが、いわゆる90年代初頭のキン肉アクションとは一線を画する名作だと感じました。もちろん銀河王も前のめり&大興奮で満足度120%の内容だったことは言うまでもありません。

ストーリーの切り口はエンデ原作の方の『果てしない物語』やセンダックの『かいじゅうたちのいるところ』などのような、現実世界に上手くアダプトできない子供が、逃避先のフィクションの中に入り込んでしまう、というもの。

貧困家庭の子供ダニーは映画館の映写技師の親父と懇意で、その彼から彼が大昔に大奇術師のフーディニからもらった魔法のチケットを譲り受け、そのチケットの魔力で、映画の世界の中に入り込む。そこは彼の大好きなシュワちゃん扮するキン肉アクションヒーローのジャックスレイターが悪を粉砕するアクション映画の世界で、さて、どうなるか、というはなし。

監督はプレデター、ダイハードなどを手掛けたジョンマグティアナン。映画の文法をしっかり踏まえて着実な演出で、見るものを置き去りにしない楽しい映画に仕上がっている。

シュワちゃんが出てはいるものの、キチンと子供の成長や、映画の中の人物としてのシュワちゃんが、そこに気づいて、どう変化していくか、がしっかり語られるのが素晴らしい。

スコセッシの『ヒューゴ』みたいな哀愁もあった。観客と舞台を分けていると言われる、いわゆる第四の壁というものを客観的に捉え直す、示唆に富んだ良い映画と思った。

あとは、シュワちゃん中心世界なので、ターミネーターをスタローンがやってたら、みたいなポスターが張ってある、なんていう小ネタも入れてあるので、エンタメとしても飽きさせない内容になっている。

キンダーガートンコップとこのラストアクションヒーローは本当に侮れない作品と思った。みなさんもぜひご覧ください。
IwaoKatsumura

IwaoKatsumura