IwaoKatsumura

多動力 THE MOVIEのIwaoKatsumuraのレビュー・感想・評価

多動力 THE MOVIE(2019年製作の映画)
5.0
20210116:コロナ禍、感染拡大、非常事態宣言の最中、銀さんとAmazonプライムで視聴。他の感想にも多く書かれているが、『邦キチ! 映子さん』からの誘導。なかなか影響力のある漫画なんですね。

僕も最近は映画研究の本なんかを頑張って読んで、マッケンドリックとかエイゼンシュテインとか言ってる割には、2019年のこんな映画。

堀江貴文著の『多動力』を新解釈のストーリーに仕立て上げた『多動力 THE MOVIE』。

なんというか色々と規格外の映画なので、Amazonプライムに入っている人はちょっと見てみてほしい。言ってることとか、やってることは悪くないので、銀さんに見せるのは全く抵抗がなかったが、何というか全体に漂う雰囲気みたいなものの軽薄さや独特さが強烈で、なんと説明すればよいのか。

ストーリーは夢を諦めて社畜となっている若手社員鈴木が、堀江貴文みたいな考えを持っている先輩社員の堀口に感化されて、自由で面白い人間に変化していく、という話だが、漂流教室みたく会社がビルごと無人島にワープしたり、とにかく無茶な演出が目白押しで、それなりに飽きさせない内容になっている。

要所要所に堀江貴文の金言めいたことがバン! と画面に大写しになり、銀さんなどはそれなりに頷いてはいた。本質的な側面もなきにしもあらず、なのだが、何か軽薄に見えるのは僕がシステムにとらわれているからなのだろうか。

その軽薄さとはなんなのか。木綿のハンカチーフで語られる『都会の絵の具』というものを現代的に解釈するとこうなるのか、というように感じた。2000年代初頭、僕は働きもせず20代の後半を完全にドブに捨てたが、その頃の高田馬場の駅前の春先というのは、お登りの早稲田生の新歓コンパが花盛りで、仕事のない僕はよくそこを見に行き、なんなら学生のふりをして混ざったりして冷やかしていた。

その頃、大学一年生だった人たちくらいが主人公の感じといえば、なんとなく雰囲気は分かるな。ちょっとそれよりも年下なのかな。

スパイシーなんだけど、全く味気というか旨味のないスカスカのカレーみたいな味わいだった。

それでも現場は楽しかったんだろう。クラウドファンディングで出演枠を買った人たちもいたようだし。多様性の世界だ。この映画に出演した人たちにとってはかけがえのない作品なんだろうな。

監督はハシテツヤ、制作はライフマンシップ。覚えておこう。
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