IwaoKatsumura

シコふんじゃった。のIwaoKatsumuraのレビュー・感想・評価

シコふんじゃった。(1991年製作の映画)
5.0
2020 10月中旬:サブスクで銀さんと二人で試聴。銀さんもほっこり楽しむ良い映画でした。

内容は90年台の立教大学っぽい教立大学に通う軽薄なシティボーイ大学生の本木が、単位と卒業ために潰れかけの相撲部に入ったところ、思いがけず人の情に触れ、変化していくというもの。

高校生くらいの時に見たんだが、これも、こんなに面白い映画があるのか〜、と感じた覚えのある一本で、折に触れ見返したり、人からオススメ映画を問われたら、これを勧めたりしている。

いろんな人物が出てくるが、みな一様に何かしらズレていたり、うまくいかなかったり、トラウマを抱えていて、それがストーリーの中で少しずつ前向きに解消されるという作りになっていて、そこの描き方がうまい。

僕は何につけ世界というものを「変化」で見るようにしていて、生々流転というものが本質なんじゃないかと考えています。

よどみにうかぶうたかたは、かつきえかつむすびて、ひさしくとどまりたるためしなし、というのは鴨長明の方丈記の冒頭の一節だが、主体的にも中動的にも受動的にも、変化に対して意識的になると、物事を豊かに捉えられるようになる気がする。

そういう意味で、本木以外にも、デブの田口とか、全然勝てない竹中直人の青木、大学教授の柄本明なども非常に良い演技をしていた。

何より、頑張ることで周りも自分も変化していく、という話の作り方が素晴らしい。

「もう楽してズルするのはやめた」というセリフがあるが、これは名言。僕は楽したりズルしたりはうまくできなかったので、軽薄であれたことはなかったが、それでもやはり一生懸命真面目にやることが、前よりも今は大事だと思っている。

是非皆さんに見て欲しいと思う。
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