チッコーネ

恐怖の逢びきのチッコーネのレビュー・感想・評価

恐怖の逢びき(1955年製作の映画)
3.5
フランコ政権下の1950年代に気を吐いていた監督(ハビエル・バルデムの伯父)の、貴重なスパニッシュ・クラシック。

サスペンスの中にも「権力やブルジョア階級への痛烈な批判」や「戦争によりもたらされた喪失への抗議」が込められており、人間性への回帰を潔しとする骨太な主張が、伝わってくる。そこがアメリカ産のノワールものとは、ひと味違うところ。

構図が美しい車中でのオープニングから、観る者を惹きつけてやまないルチア・ボゼーは、ディオールのドレスを見事に着こなしていた。