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サマータイムマシン・ブルースのRenのレビュー・感想・評価

4.0
以前Instagramには感想を書いていたけど、『四畳半タイムマシンブルース』のために再見した。気になる箇所はあるけど、それを『ドラえもん』的な(『ドラえもんだらけ』『ガラパ星から来た男』など)タイムトラベルパズルの快感が上回る。きっとこれからも、いつ観ても楽しいんだろうな〜。

近未来なイメージのあるタイムマシンものを、高湿度な日本の夏&冷房の壊れたボロ部室を舞台に、SFに無知な学生たちの悪ふざけに全振りしたのが唯一無二。終始画面が黄色がかっていてもっさりしていてスタイリッシュさの欠片も無い。高校時代の夏休み、練習後に蒸し暑い部室で皆んなで漫画読んで寝っ転がっていたことを鮮明に思い出した。

アバンタイトルで違和感をばら撒いてそれを一つずつ回収する、その一点突破。だからドラマというよりはパズルとかクイズの側面がかなり強い作品ではある。ただその布石の打たれ方が多岐に渡るし大喜利の完成度が高いので、パズル自体がちゃんとドラマになっているのが偉い。ヨーロッパ企画ならではの論理構築の妙。近作『ドロステのはてで僕ら』も同様に超面白かったけど、今作の方が画が広いしルールも分かりやすいため、知名度が高いのも改めて納得した。

ただし舞台が元なので、役者陣のわざとらしいオーバーアクトや配役(どう見ても学生じゃないだろ!)は気になる。あと全員物分かりいいな、とか。キャラ立ちはしているものの、人物が物語の駒になってしまっている感じもどうしてもしてしまう。

意外と一番好きなのは、甲本(永山瑛太)のことを他の部員がイジりまくる、本筋に何も関係の無いシーン。彼女ができた疑惑を執拗にイジる、ホモソのノリのダルさの全てが詰まっている。裸踊りの強要とか、やり過ぎてつまんなくなっているところまで含めて学生非モテコミュニティ(敢えてこう言うけど)の感じがキツくて良かった。

その他、
○ 未来は見たくないでしょ〜と話す面々だが、最終的に未来が予想できてしまう。「変えられない未来」に向かって、「自分が未来のために変わっていく」という決意に溢れたラストの台詞。これまで散々タイムパラドックスの整理に奔走した彼なりの回答。
○ 保積(佐々木蔵之介)の講釈が『バック・トゥ・ザ・フューチャー』すぎる。そもそもありがちな説明ではあるけど。
○ リモコンの件だけ、SFとか以前にリアリティが無さすぎてそれでいいの?とは思う。
○『カメラを止めるな!』が公開されたとき今作がよく引き合いに出されていた気がするのですが、今思えばカメ止めこそがヨーロッパ企画っぽかったのだなと。
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