サマセット7

オーシャンズ11のサマセット7のレビュー・感想・評価

オーシャンズ11(2001年製作の映画)
4.5
監督は「セックスと嘘とビデオテープ」「トラフィック」のスティーヴン・ソダーバーグ。
主演は「スリー・キングス」「マイレージマイライフ」のジョージ・クルーニー。

[あらすじ]
アメリカ・ラスベガスにて。
刑務所から仮釈放で出所した詐欺師のダニエル・オーシャン(ジョージ・クルーニー)は、直ちに次の「仕事」の計画を練る。
彼が右腕のラスティ・ライアン(ブラッド・ピット)に持ちかけたのは、ラスベガスの三大カジノの資金1億5000万ドルを強奪する、空前絶後の犯罪計画だった!!!
冷徹無比なカジノオーナー・ベネディクト(アンディ・ガルシア)が守る難攻不落の金庫を攻略するため、犯罪のエキスパートたちが11人集結する!!!
他方、オーシャンの計画には金以外にも目的があり…。

[情報]
主演ジョージ・クルーニーとスティーヴン・ソダーバーグ監督のコンビが、豪華ハリウッドスターを揃えて製作した、大ヒット・ケイパームービーシリーズの第一作目。

1960年の映画「オーシャンと十一人の仲間」のリメイク作品。
リメイク元は、フランク・シナトラ主演で、第二次世界大戦の戦友が再集結してラスベガスで強奪計画を行う、というものだった。
今作ではほぼ設定全般が変更されている。

スティーヴン・ソダーバーグ監督は、26歳の監督デビュー作「セックスと嘘とビデオテープ」で、いきなりカンヌ映画祭の最高賞パルムドールを受賞した、天才監督。
その後2000年には「トラフィック」ではアカデミー賞監督賞も受賞しており、監督としての才能は折り紙付きであった。
監督のみならず、撮影監督や編集も自ら行う点に特徴がある。
どちらかと言えば、インディペント系で深みのある文学的な作品を撮るイメージのある監督であった。
そんなソダーバーグが、ハリウッドスターを集めて軽妙洒脱なエンタメ作品を撮り、メガヒットを飛ばしたのが、今作である。

今作のキャストは、ジョージ・クルーニー(ER緊急救命室)、ブラッド・ピット(セヴン)をはじめ、ジュリア・ロバーツ(プリティウーマン)、マット・デーモン(ボーンシリーズ)、アンディ・ガルシア(アンタッチャブル)、ドン・チードル(ホテル・ルワンダ)、ケイシー・アフレック(マンチェスター・バイ・ザ・シー)といった、ハリウッドオールスターと言うべき凄まじい豪華メンバーとなっている。
製作段階では、ブルース・ウィリス、ジョニー・デップ、ユアン・マクレガー、マーク・ウォールバーグも候補に上がっていたという。
何とも豪勢な話だ。

今作は批評家、一般層いずれからも一定の好評を得ている。
8500万ドルの製作費で作られ、4億5000万ドル超の大ヒットとなった。
豪華メンツに比して製作費が抑えられたのは、スタッフとジョージ・クルーニーが各キャストに通常より大幅に出演料を下げてくれるよう頼んだから、とのこと。

[見どころ]
豪華スターの競演は眼福の極み!
特にジョージ・クルーニーとブラピのツーショットのセクシーさは、映画史上最高峰!!!
軽妙洒脱でテンポ良く、ストレスレスなストーリー進行!
目的は大金と元妻の奪還!
敵は厳重なセキュリティと冷酷な支配人!
シンプルなケイパーものの構造でわかりやすい!
11人の犯罪の専門家が、それぞれの特技を持ち寄って難関をクリアする、ケイパーものの醍醐味を味わえる!
エンタメに徹して変なメッセージ性もないので気安く楽しめる!!

[感想]
最高!!

何度目かの鑑賞。
大好きな作品だ。

細かく観ると、色々ツッコミどころのある作品かもしれない。
しかし、とにかく軽妙かつゴージャスにケイパーものを楽しめる、というエンタメ精神は唯一無二だ。

ジョージ・クルーニーとブラッド・ピットが、同じ画角に収まって、なんだかんだ言っていることによる多幸感!!
彼らのスタイリッシュさ!
カッコ良さ!!!

ハラハラも。
ドキドキも。
コミカルも。
ザマーミロも。
全てがちょうど良い。
このバランス感覚!!

次々と犯罪のエキスパートを勧誘していく「七人の侍」感が、まずはたまらない。
指揮官!
右腕!
スポンサー!
カジノのディーラー!
運転手×2!!
ハイテク担当!
爆弾担当!
軽業師!
老練の詐欺師!
スリの達人!!
以上11人!!!

昔は、スポンサーが入っているところに、「この人なぜいるんだろう…」と思ったものだが、大人になった今見るとわかる。
お金は大事だ。何をするにも元金はかかる。

そして、本番が始まった後の、想定内と想定外の入り混じったカオス!!
次々と困難が襲いかかっては乗り越える、軽快さ!!
絶妙な伏線回収!!
どのようにして、大金を外部に運び出すのか?という、ミステリー!!!
事件後の余韻!!!!
最高ーーー!!!

ツッコミどころの最大は、オーシャンの元妻であるテスの心の動きかもしれない。
一度失った女性の信頼と愛情を、男性が取り戻すのは、現実的には不可能に近いだろう。
ジョージ・クルーニーの魅力がそれだけ凄い、ということか。

しかし、今作は、そもそも、細かいことは気にしないで、とにかく豪華スターのケイパームービーを楽しんで!!!というタイプの作品だ。
揚げ足取りは、野暮、というものだろう。

総じて、肩の力を抜いて気楽に楽しめる、非常に映画らしい映画、という印象だ。

[テーマ考]
今作には、特段の深みのあるテーマはない。
ケイパーもののハラハラドキドキと、軽快なコメディ、豪華キャストが醸し出す、ゴージャス感、オシャレ感こそが、全てだ。

ハラハラドキドキに集中させるため、あえてキャラクターの深い掘り下げはしない。
それでも十分にキャラクターが立っているのは、豪華俳優たちの演技と効率的な脚本のおかげだろう。

今作には、勧善懲悪とか、因果応報、といったものすらない。
敵役のベネディクトは、悪か?
カジノのお金を守ることは、果たして悪だろうか?
妻に対して、彼はそこまで酷い人間だっただろうか?
おそらく、今作を観るにあたって、そんな「些細なこと」を考えてはいけない。

イケメンでセクシーなジョージ・クルーニーとブラビが、ギャングっぽい顔をした大金持ちのアンディ・ガルシアをギャフンと言わせる!!
痛快!!!
それくらいの温度感で観るのがよい。

ここまで割り切った作品も逆に珍しい。
それが、時に好ましく、定期的に摂取したくなる。

[まとめ]
スティーヴン・ソダーバーグ監督の大ヒットした代表作にして、豪華スターが多数共演した、ケイパーものの快作。

好きなシーンは、ジョージ・クルーニーとブラビのツーショット全般。
老詐欺師ソールの活躍シーン。
中国雑技団出身のイエンの活躍シーン。
ダニーの「ひとり拷問」のシーンもお気に入りだ。