アレックスbuono

パプリカのアレックスbuonoのレビュー・感想・評価

パプリカ(2006年製作の映画)
3.5
夢か現実か、区別がつかなくなる事件に巻き込まれる中、登場人物は自分自身とどう向き合うのか。
現実だけが本物ではない、無意識の現れである夢も受け入れ、本当の自分として愛そう。そんな本作のメッセージは、進路に悩む若年層、さらには年を重ねてかつての想像とは少し違う現実を生きる大人にも、励ましと勇気を与えてくれるように思った。

そもそも「現実」と言ってもそれをどう解釈し行動を起こすかは、私達の価値観により、結果が180度変わる可能性がある。無意識下に見る夢が願望や欲望の現れだとすると、私達の思考と行動の指針となる地図のようなものかもしれない。
そんな夢について、まるでカウンセリングするかのように紐解いていくことが、本当のありたい自分にたどり着く旅路だとしたら、やはり夢=無意識の価値観=もう一人の自分·現実、と言える。

セリフでは多くは語らず、絵で象徴的に意味を伝える作りで解釈が難しかったが、でもそれこそが映画本来の特性とも思えた。

監督:今敏
原作:筒井康隆
音楽:平沢進