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市民ケーンのアレックスbuonoのレビュー・感想・評価

市民ケーン(1941年製作の映画)
3.0
映画史上最大の傑作と業界人が評する本作、その脚本構成が大きく評価され、後の作品にも影響を与えた偉大なものとなったようだ。
現代では当たり前の手法でも、初期にそれに挑戦し広めたことが偉大で、映画史に刻んでおくべきものなのだろう。

ただし現代のありふれたコンテンツと比較した場合にいまさら特別な点はあまり無く、退屈と感じる瞬間もあるので、映画史を学びたいといった目的が無い限りは、時間をとって必ず見るべきものでは無いように思う。

評価された構成や手法は下記。
・時系列を操作する構成
・他社の証言により人物像を明らかにする手法
・画面の手前と奥の両方に焦点を合わせ奥行き感を生む手法

これに加えて特に印象的だったのは、影の陰影を非常に多用した絵になっていた点。もはや演者の顔が見えないほどに影がかかっているシーンもあった。
しかしそこから演者が移動して光の下に顔があらわになった瞬間のインパクトが大きく、綺麗な絵となっていた。

ケーンが最後まで得られなかったものは愛でしたね。結末をセリフにするのではなく、絵で示すところが映画的で良かった。

監督:オーソン・ウェルズ
脚本:ハーマン・J・マンキーウィッツ
撮影:グレッグ・トーランド
1941年・アメリカ