アレックスbuono

インサイド・ヘッドのアレックスbuonoのレビュー・感想・評価

インサイド・ヘッド(2015年製作の映画)
5.0
頭の中の感情を擬人化するという難題を形にしてみせたピクサー作品、あまりにも出来が良く、終始目に涙を浮かべながら鑑賞していた。子供よりもむしろ歳を重ねた大人の感情にぶっ刺さる。人間の感情や人格形成プロセスを分かりやすく、記号的に客観視できたような気がして、つい自分のことも応援したくなるような前向きな気持ちになる作品だった。

誰もが経験したことがあるような感情表現·現象、これを頭の中の世界として映像化するとどうなるのか。このアイディアが多彩で最後まで飽きさせない。
記憶と特別な思い出の表現がビー玉のように綺麗で、そして頭の中の世界のルール説明は手際良く分かりやすくポップで万人受けする表現となっていた。本来は脳科学的な分野で抽象的な映像表現になりそうなのに、ここまでキャッチーな世界観·ビジュアルを用意出来るなんて凄すぎる。

思わず笑っちゃうようなあるあるネタも。
不意に頭の中でCMソングが止まらなくなる現象、世界共通なんだ…
事実と意見がごちゃ混ぜになってしまうことは本当によくある。ピクサーの毒っ気のあるギャグで好き。
ビンボンというイマジナリーフレンドの存在、誰もがかつて密かに感じていたことだと思う。気付かないうちに忘れ去り大人になっていた、そんなノスタルジックで普遍的な脚本は、優しい気持ちにさせる。

悲しみの感情は決して悪者ではなく、喜びを実感するために必要で、相互理解が大切というメッセージもとても良かった。最後の、ライリーが勇気を出して泣きながら地元に帰りたいと本音が言えたことで、少し笑顔がこぼれる複雑な感情描写が、ヨロコビたちの成長の終着点として完璧だった。
人間の頭って、本当に頑張ってるなぁ。

エンドロールの映像も良かった。作品を見終えて現実に戻る鑑賞者たちに、自分たちの頭に置き換えたときにどう感じるか自覚を促し、視野をグッと広げる面白いオマケ映像だ。

監督:ピート·ドクター
脚本:ピート·ドクター
音楽:マイケル·ジアッキーノ
(2015年)