アレックスbuono

人情紙風船のアレックスbuonoのレビュー・感想・評価

人情紙風船(1937年製作の映画)
3.0
嫌な奴にやり返してスッキリ爽快、とそんな都合の良い話ではない。やったらやり返される、という極めて現実的な捉え方をしている。
貧乏長屋という共同体の隣人として、新三と又十郎がほんの少し関わり合いを持つ。困難に抗いながらもその運命に飲み込まれていく。
同じ長屋の住民たちは大人も子供も戸から事の様子を野次馬のごとく覗きに来る。これが映画の視聴者と重なるようで、公使の境界が薄い昔、人のドラマはご近所さんから肌身で感じるものだったのかもしれない。

監督:山中貞雄
脚本:三村仲太郎
原作:河竹黙阿弥
1937年・日本