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裸のランチのらのレビュー・感想・評価

裸のランチ(1991年製作の映画)
3.4
裸のランチを原作に忠実に映像化することは不可能だ。この映画におけるクローネンバーグ最大の功績は観易さ(これでも)にある。一応筋があって、人間心理があって、原作ほどのエグさ(特に性的)もなく、オシャレな雰囲気すらある。原作の断片をただ切り出したり、全体の統一性を見つけることで分かり易くすることはせず(というより不可能)呼応する形でクローネンバーグ自身の裸のランチを撮った。それともう一つ重要なのがバロウズという作家自身の像を物語に投影させているということ。ウイリアムテルごっこをして妻を撃ち殺してしまったのは本当の話。かねてからバロウズファンのクローネンバーグはこの映画を通して作家バロウズを描きたかったに違いない。
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