東朴幕院

ドゥ・ザ・ライト・シングの東朴幕院のレビュー・感想・評価

ドゥ・ザ・ライト・シング(1989年製作の映画)
4.0
スパイク・リーの予言的な作品だ。
黒人が多く住むブルックリンを舞台に日常を描く作品であるが、ラスト近くに燻り続けた不満が爆発する。しかし、ここで言いたいのは、不満とはそれ程深刻なものでは無かったものであるが、一度不満をぶつけた事で物事が動き始め、それは誰にも止められないものに発展するという事だ。この作品が製作されて30年も経過したが、実態は更に悪くなったというのがBLM問題と共に浮き彫りになった。
イタリア系のダニー・アイエロが演じるサルが経営するピザ屋で起きたあんな事件は、大した話では無かったのに、大喧嘩に発展してラジオ・ラヒームが警官の過剰な暴力で死亡したのも、ピザ屋が焼けてしまったのも他愛の無い事から始まってしまった。しかし、この作品で言いたいのは、キング牧師の言う所を実践する前に暗殺されてしまった無念さにあるのでは、しかしマルコムXの言う方向に引っ張られてしまったのが残念でならない。これは、30年前の本作が製作されたタイミングでの主張だ。今だったら、そう言う主張にはならないだろうね。
俳優としてのスパイク・リー本作いい加減な奴ぶりが好演だったね。
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