HicK

下妻物語のHicKのレビュー・感想・評価

下妻物語(2004年製作の映画)
4.3
《イカつい凸凹友情物語》

【好きっす】
公開当時から好きな作品。知識がなかった自分は少女漫画が原作だと思ってたが、小説だったらしい。映画「NANA」(こちらも原作未読)をコメディーで誇張したような友情物語が熱い。演出のチカラがヤバい作品。

【熱い友情】
ベル○ーチのパチモンで出会い、刺繍で深まる友情。凸凹コンビはやっぱり魅力を感じる。外見はビターとスイート系。内面は燃える炎とドライ系。イチコの熱さに引き込まれるし、ドライだった桃子が変わっていく姿に胸が熱くなる。

【土屋アンナ】
日本アカデミー新人賞。今作の成功は彼女のお陰。キャラが立ちすぎてマジで笑いが止まらない。少年のよう。コメディー映えするいい誇張感で、ワザとらしい演技が絶妙な塩梅。新人が意図的にワザとらしい演技をするって難しいと思う。本人のキャラ的にもガッツリハマっていて最高だった。

【その他キャスト】
篠原涼子いい。大胆で下品でエセ関西弁。他にも樹木希林、阿部サダオもいい。真木よう子も出てた事に驚く。もちろん深田恭子もクライマックスの演技は気持ちよく、彼女本来のキャラも役柄とマッチしてる。

【演出】
中島監督のロックな演出と攻めた下品系コメディー。どこまでが中島監督テイストでどこまでが原作テイストなのか、いまだに分からないが、女性の友情物語に反して相当イカつい作風が好みに刺さった。回想シーンの"盛り具合"や、色を引き立たせた暖色系フィルターをかけているのは後の「嫌われ松子の一生」にも共通。映えてる。

終始ナレーションベースで進む物語で、普段は嫌ってしまうような要素だが、桃子の"見かけによらずドライな性格"が反映されていて面白い。無駄なシーンがめっちゃくちゃ多いが、一つ一つがくだらなくて楽しかった。

欲を言えば、(原作はどうか知らないが)茨城弁がもっと欲しかった。樹木希林にも茨城弁の講師をつけて欲しかったなぁ。

【曲】
エンドソングのTommy heavenly6 (Februaryの方だと思ってた)の「♪Hey my friend」が最高。

【総括】
イカついさ溢れる下品でカッコいい演出の中、凸凹コンビの友情がとても熱い作品。女性が主役だけど、"本来は女性たちを美しく輝かせられないであろう作風"のミスマッチが良い意味で自分のツボを突く。

【好きなセリフ】
イチコ:「桃子はな、群れなきゃ走れねぇアンタらとは違うんだよ!」

桃子:「ワレいちびっとったら、ホンマいてまうぞコラ!!」

【P.S.】
牛久の大仏、本当にすごいから見に行ってほしい。
HicK

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