ベビーパウダー山崎

血と海のベビーパウダー山崎のレビュー・感想・評価

血と海(1965年製作の映画)
3.0
血が濃い親から生まれた姉は知恵遅れで、妹の和泉雅子は異様なほど快活で、貧乏と欲望しかない田舎の漁村。夜這い、祈祷師、海女、近親相姦。設定はキム・ギヨンのようだが、その暗い「しきたり」も笑って吹き飛ばそうぜ、みたいなのがなんだか逆に居心地が悪い。知恵遅れは当然のように悪ガキたちに回され、その村の因習を一人背負っているような婆さんは突然死。だからといって、何が変わるわけでもなく、海女を続ける者もいれば、アルバイトで海女の格好して観光客の相手をする者もいるだけの話。
閉じた世界で、金も遊びもないから持て余した下半身でどん詰まりの日常をやり過ごすしかない。金儲けの話は異国ぐらいの距離感。知恵遅れの姉は小船で海女に駆り出され、水着姿で砂浜をねり歩く和泉雅子のケツのショットから、婆さんの墓石で終わる。生(性)と死は、切れ目なく繋がっている一つの円。