むっしゅたいやき

ワイルド・ブラック/少年の黒い馬のむっしゅたいやきのレビュー・感想・評価

3.8
流麗なスタイルと、その筋肉の躍動感。
風に靡くたてがみ、その後脚から放たれる土つぶて。
温厚な気性と忠誠心。
馬と云う生き物の持つ美しさと気高さを存分に堪能出来る作品である。

キャロル・バラード監督。
制作総指揮はフランシス・フォード・コッポラ。
原題『The Black Stallion』。

本作も原著が児童文学となり、中盤以降は御都合主義的な展開が見られるが、前半部分は独りぼっちであった少年と黒馬が交流し、共に胸襟を開いて行くさまが丁寧に描かれており、無言、無劇伴で環境音のみに拠る事と相俟って、我々に自然と生命の力強さを訴えかける。
特に黄昏に騎乗し、汀を疾駆する姿には羨望すら覚えさせられる程であった。

中盤以降はテンポが良く、終盤には大観衆と云う『数の暴力』的な山場もある為色合いの異なる構成にやや戸惑うが、鑑賞後には爽やかでほの暖かな余韻の残る作品である。
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