そのじつ

用心棒のそのじつのレビュー・感想・評価

用心棒(1961年製作の映画)
5.0
「終」の字を見た瞬間、震えがくるほど感極まっていた。
実は『椿三十郎』を先に見てしまったのだが、あのユーモアと義侠心あふるる作品とは、本作はだいぶ趣を異にしている。
殺伐とした・・乾いた死生観。剣をふるってその真価を発揮するタイプの男・三十郎は、無邪気と言っていいくらいに迷いなく、見事に悪人たちを掃除してしまう。最高にカッコいい、けれど非常に怖いなと思う。モチーフにしているように感じる西部劇と通底する部分。
そこがわたしが『椿三十郎』よりも本作を推す理由だ。

それにしてもこの映画はミフネを鑑賞するためのものだと言っても過言ではないくらい素晴らしい!歩くだけのシーンでも魅せる。あの虎が歩くような悠々とした肩の動き、素晴らしいなあ。ものを食うところまでカッコいい。
それに負けない五十鈴姐さん、東野英治郎も好きだなあ。仲代達矢はまだ若いねえ。

そしてカッコいい音楽もタップリ聞かせてもらって非常に満足。
あまりBGMが入るのは好きじゃなかったのだが、本作は別。画面の動きと音楽が見事にシンクロしていてしびれる。
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